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ジューダス・クライスト【第四話】(お題:異世界転生・歴史探訪 嘘つき同士の友情・最期の晩餐 希望と空虚・臆病者・快楽に溺れる 据え膳食わぬは男の恥 正解と正しいは違う・推し活沼) 「あなた、本当に神の声を聞いたの?」 青龍偃月刀の錆となったはずの私の前に 地味な恰好の バタくさい顔をした女が立っていた。 外国人。それも一人ではない。 私は西洋っぽい異国で 大勢の老若男女に取り囲まれていた。 全員、随分とボロい恰好をしている。 男は農作業用のシャツとズボンに革靴。 女は長いワンピースかエプロンに頭巾。 みんな似たり寄ったりで田舎臭い感じだ。 そしてなんと、私も周りの女達と同じような 長めのワンピースを身に纏っていた。 馬鹿な。 私に絵守のような趣味はないぞ。 といって絵守にそんな趣味が あるかどうかは実際知らない。 知らないが、あの男のことだ。 絵のモデルが見つからずに 自分で女物の衣服を着て 鏡の前で色々着替えているうちに 「あら意外と似合うじゃない」 みたいな感じでそっちの道に目覚め 私と会っていた時分にも ひょっとしたら下に 女性用のランジェリーを身に纏って 得々としていたのかもしれない。 なんて悍ましい男だ。 よし、元の世界に戻ったらきっと 生放送のテレビ前で奴の衣服を剥ぎ取り その歪んだ性癖を白日の下に晒してやろう。 待ってろ絵守。 お前の出世も私が今生に戻るまでだ。 それまで束の間の栄華を 謳歌しているがいいさ。 くわつはつはつはつ。 なんて文学的な笑い声を 地の文であげている私は まだ文学に未練があるのだろうか。 なんだか悲しくなってきた。 そもそも夢の中とはいえ 何でこう何度も死ななきゃならんのか。 馬鹿は死んでも治ってないし。 てことは何かい。 私の文学はまだ枯れてないってことかい。 じゃあ私は私の文学に 決着を着けに戻らなきゃならない。 そう、まだ私の人生は ちゃんと終わっていない。 張り詰めていた思いが溢れ 涙が自然と頬を伝った。 「私は行かなければならない」 口からも、想いが溢れていた。 「またご神託か」 「正気で言ってるのか? 王太子の元へ行くとか フランスを救うとか」 「でもお前まだ今年で十三だろう」 男達が嘲笑交じりに冷やかすのを遮って 井戸端会議のリーダー格っぽい オバハン二人が私の弁護を買って出た。 「年なんか関係ないさ。 この子はね、村はずれの妖精の木に 毎日一人で祈ってるんだよ」 「そうさ。この娘ほど信仰心が厚けりゃ 神様もほっとかないだろうよ。 なあジャンヌ、今日も声を聞いたのかい?」 なんだ?一体この人達は 何を言っているんだ?声?嗚呼、声ね。 そりゃ毎日聞こえているよ。 あの塹壕戦の時もそうだった。 ん?塹壕戦?なにそれ? なんかふっとリアルな光景が… そういえば、元の世界で 希死念慮を誤魔化すために Netflixでプライベート・ライアンを つけっぱにしてた時があったっけ。 嗚呼そうか。 あの時も絵守の声が聞こえていた気がする。 これは大賞を狙えそうですぞ! とかなんとか。嬉しそうにニヤついた顔で。 「声なら聞こえます。かつての友の声。 今の彼はサタンの手先です」 「かつての友?イングランドのことかい? 奴らが友なわけあるかね」 「でも元は同じ国みたいなもんだったろ」 何故か私の独白に共鳴して 井戸端会議が続いていく。 奇跡だ。私は奇跡を起こしている。 さながらオルレアンの乙女だ。 というか私はさっきジャンヌって 呼ばれてなかったか? それになんだか体が怠い。 凄まじく怠い。 股から何か魂が抜けていく ような感じがする。 意識が遠くなる。 そして私はそのまま路ばたに突っ伏した。🍎アカリ🍎 X 𝐈𝐧𝐬𝐭𝐚𝐠𝐫𝐚𝐦 公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁 ※𝐈𝐧𝐬𝐭𝐚𝐠𝐫𝐚𝐦開設したので フォローお願いします✨ ※公式LINEが凍結してしまったので 再登録お願いします🙇♀️ブログ一覧
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ジューダス・クライスト【第二話】(お題:異世界転生・歴史探訪 嘘つき同士の友情・最期の晩餐 希望と空虚・臆病者・快楽に溺れる 据え膳食わぬは男の恥 正解と正しいは違う・推し活沼) 「殿。ご決断を」 目を覚ますと 暗い顔をした軽装の武士みたいな奴らが 私を取り囲んでいた。 「え?何?」 「今川軍の攻勢を待っては滅びを待つばかり。 ここが先途。 明日の明朝、最期の名誉のためにご出陣を」 猿のような顔をした小男が 物凄い剣幕で詰め寄ってくる。 これは何ですか。あれですか。 流行りの異世界転生ってやつですか。 私の脳髄はいつの間に 読んでもいないラノベの類に 侵されていたんだ。 いや、広告の力とは恐ろしい。 人の今際の際にまでこうやって ズカズカ踏み込んでくるんだから。 つまり私は今、今際の際に夢を見ている ということか。 するってぇと何かい。 状況から察するに、この私は今 桶狭間前夜の信長ってところかい。 一日署長ならぬ一日信長。 それにしても、よりによって とんでもない一日を選んでくれたもんだ。 神よ。そんなに私のことが嫌いなのかい。 嗚呼そうかい。 「念の為に、城の周りを見回って参ります」 猿が最期の大仕事 のような勢いで飛び出そうとする。 「あ~、いいよいいよ。 こんな夜分に斥候に出ちゃ落馬しちゃうよ。 てかさ、今川義元との戦力差舐めてる? 舐めてますよね? こんな尾張の守護代の守護代が どうにかなる相手じゃないでしょう。 最期くらい笑って散りましょう。 何が名誉の突撃ですか。 そんな何の益体もないことより 今宵は宴じゃ。最期の無礼講の大饗宴じゃ。 とにかく酒もってこい酒」 私はヤタケタだった。 転生しても鬱はどうにもなっていなかった。 今から戦?冗談じゃない。 おそらくこの猿めは羽柴秀吉だろうが 今こいつを外に出すと 今川軍が目と鼻の先で酒宴を開いてるのを なんか凄い士気上げる感じのテンションで 報告してきてくるに違いない。 そうなったら確実に めんどい戦をする羽目になる。 こんな雷雨の中をよ。 無理無理。 あの壁んとこに飾ってある甲冑とか めちゃくちゃ重いに決まってんじゃん。 ここはあれだ。一発、敦盛かましとくか。 「人間五十年、下天のうちをくらぶれば 夢幻のごとくなり。 …っていうのはさ。 人の命なんてマジ一瞬なわけじゃん。 でもね、僕なんかはその一瞬を 最期まで愉しみたいって、そう思うわけ。 今を楽しめない輩は 天国なんて行けやしませんよ。 結局、浮世なんてのは 僅かな時間の中で どれだけ欲望を満たせるかが 勝負だと思うの。 何?武士道?馬鹿言っちゃいけねえや。 それこそ己の本懐に背くことですよ。 ゆとりさとり世代に笑われますよ。 誰が好んで死に急ぎたい奴がありますか。 え?煩悩?はは。 大いに結構じゃないですか。 煩悩煩悩。ぼかぁ煩悩を全うするために 生まれてきたのかもしれないなぁ」 今日は朝まで飲むぞ。 私は権威で以て 一歩も譲らず馬鹿を押し通した。 家臣たちは青い顔をしながらも それに追随するしかなかった。 葬式みたいなヤな感じの宴になった。 酒を注ぐ音が 閑寂の和風広間に寒いくらい侘しく響いた。 「最期の無礼講なんだから 盛り上がっていこうぜ」 私の酒宴激励も半ば無視 みたいな空気だった。 肴には誰も口をつけなかった。 みんなの視線が痛かった。 最悪な酒宴だった。 痛みそのもののような酒宴だった。 今頃、今川軍は 大層盛り上がっているだろうに。 こちらの宵は酔いも回らず 空を覆う闇夜が永遠のように感じられた。 致し方ない。とにかく今、何もしたくない。 そのためならば、私はどんな暗君にもなろう なったろうやないかい。 男には、何が何でも やらなきゃなんねえ時があるんだ。 そして翌日。織田家は普通に滅びた。 そりゃもう圧倒的に滅びた。 今川軍は馬鹿みたいな強さで なんかもう笑った。 降り注ぐ矢の雨の中 私は本丸にちらかった酒瓶に蹴躓き 勢いその先の 土鍋に頭を突っ込んで気絶した。 🍎アカリ🍎 X 𝐈𝐧𝐬𝐭𝐚𝐠𝐫𝐚𝐦 公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁 ※𝐈𝐧𝐬𝐭𝐚𝐠𝐫𝐚𝐦開設したので フォローお願いします✨ ※公式LINEが凍結してしまったので 再登録お願いします🙇♀️ブログ一覧
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