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ジューダス・クライスト【第三十六話】お題:異世界転生・歴史探訪 嘘つき同士の友情・最期の晩餐 希望と空虚・臆病者 据え膳食わぬは男の恥 正解と正しいは違う 「なんだ。全然抜けるじゃないか。 絵守君。君ねぇ いくらトニーと触れあってたいからって 三文芝居はよくないよ。 チェキ会だったら剥がされて出禁だよ」 「いえ、絵守画伯は本気でした。 あなたがおかしいのです筆山」 絵守は画伯呼びなのに 自分は呼び捨てにされたことに 憤慨した筆山はしかし レオニダスがヘラクレスの血を引いている 云々の話を思い出した。 見ると絵守は 推しのソロイベ抽選会に外れた人。 みたいに愕然として項垂れている。 「おのれアギアス家。 我がエウリュポン家の恨み 末代まで忘れるな」 「肩を落とさないで下さい。 そんなあなたにはこれをプレゼント」 トニーはそう言って 打ち上げ花火を取り出した。 「トニオ・サルバドール・ マクダニエル・ゴンザレス画伯。 一体どうしてこんなものを?」 「こないだ縁日で買った土産物です。 片が付いて景気付けに打ち上げれば 達成感も倍増です」 「どこの縁日だよ。 それよりこの剣、なんか変な造りだな」 引き抜く時には気が付かなかったが 剣の柄にはトリガーのようなものがあった。 そこへ怒気を孕んだペルシア兵たちが 丁度良く突撃してきた。 筆山は早速そのトリガーを引いてみた。 きっとこれで刀身が 赫い刃になって攻撃力上昇。 上弦の鬼の再生も防げる。 私は息の呼吸くらいしか使えないが。 なんてことを夢想していると 利き手に激しい反動。 見れば剣先が食虫植物のように開いている。 そこから何発もの鉄塊が ペルシア兵に襲い掛かり 鎧ごとぶち抜いてミンチにしていた。 知っている。 私はこの武器を嫌という程知っている。 あの時、こいつのせいで私は 塹壕などを掘らなければならなかったのだ。 「おい何が魔剣だよ。 こりゃ直剣の形をした マシンガンじゃないか」 「ですからガンモドキ(銃もどき) と言っているでしょう。 あなた達が戦うのは 悪魔じゃありませんから。 人間相手ならこれが一番効果的です。 あなたがこの魔剣に選ばれたのは その恐ろしさを身をもって 知っていたからこそです。 別に血筋とかそういうのは 今回全然関係ありません」 絵守は何のことだかわからず 話についていけなかったが とりあえずエウリュポン家が アギアス家を呪う理由が 無くなったことだけは何となく理解できた。 「うるさい。 そもそもこんなもん剣でも刀でもないって。 ただの銃小火器だって」 「細かいことはいいっこなしです。 私は今から サタンと決着をつけなければなりません」 「そういえば何でお前 そんな風な感じになっちゃったの?」 「私は黄泉路の果てで デビルハンターとして転生しました。 今の私の生業は 片っ端から悪魔を狩ることです」 「なんか既視感のある肩書と見た目だけど まあいいや。 もとい、サタンを追って 此処に来たとか言ってなかったか?」 「はい。 私とヤツは遥か遠い時空で戦っていました。 しかしヤツは突然、何かに呼ばれたように 急に別の次元へと転移しました。 おかげで私もその後を追って こんな大昔まで来る羽目になりました。 もう面倒くさいんで今度こそ逃がしません。 あなたたちは勝手に あなたたちの戦争をやっていてください。 私とサタンのことはお気になさらず。 それではアイルビーバック」 そう言うとトニーは筆山たちの前から 一瞬で姿を消した。 サタンは地形も生物も関係なしに ただ大地を蹂躙しながら進んでいた。 もはや筆山たちが陣取る隘路まで 残り十歩足らず。 その時、突如として目の前の空間が割れ 同時に無数の銀の塊が サタンの眉間に叩き込まれた。 「ウィンチェスター大聖堂の 銀十字を鋳溶かして造った 十三ミリ爆裂徹甲弾です。 こいつを喰らって平気な悪魔はいませんよ。 とはいえ ウィンチェスター大聖堂が建造されるのは 今から千五百年も後のことですがね」 トニーの愛用二丁拳銃 パンプキン&ハニーバニーの集中砲火に サタンはたまらず膝をついて呻いた。 が、間を置かず 六枚の翼を羽ばたかせて飛翔。 その風圧に辺りで乱気流が巻き起こる。 天の光を遮るが如く 地を見下ろして中空に鎮座したサタンは そのまま下界へ向けて 口から黒い魔炎を吐いた。 魔炎は地表を覆い尽くし これに呑み込まれたあらゆる有機物は たちまちにして腐れ落ちた。 辺りを埋め尽くしていたペルシア兵たちも 大量の骨となって頽れた。 トニーは背中の大剣バッサニオンを抜き放ち 高速回転させて旋風の盾を創り これを防いでいた。 更には怯むどころか そのまま上昇しながら サタンとの距離を詰めていく。 「これでは決着までに この地が朽ち果ててしまいますね。 場所を移しましょう。 二度と逃れることのできない 私の固有結界に特別招待して差し上げます。 アスタラビスタベイビ」 トニーの大剣が大気を薙いだ。 すると何もない空間に裂け目が生じた。 そこから暗黒が覗いた。 その暗黒は、途轍もない引力で 中空のサタンとトニーを あっという間に吸い込んだ。 吸い込んだと同時に閉じた。 空間は何もなかったかのように塞がり 後には馬鹿みたいな青空が 当たり前に広がっていた。 🍎アカリ🍎 X 𝐈𝐧𝐬𝐭𝐚𝐠𝐫𝐚𝐦 公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁ブログ一覧
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ジューダス・クライスト【第三十四話】お題:異世界転生・歴史探訪 嘘つき同士の友情・最期の晩餐 希望と空虚・臆病者 据え膳食わぬは男の恥 正解と正しいは違う ペルシア王、クセルクセスは憤慨していた。 もはや憤死直前という様相だった。 「一体何なんだ! もはや我の親族は全て打ち滅ぼされ 不死隊も全滅! 我が陸軍本隊は壊滅的状況だ! 貴様ら!たった三百の雑兵相手に! あああああ!」 「王。お鎮まり下さい。 もはや撤退しか道はありません」 一人の側近が進み出た。 次の瞬間、側近の胸に刃が突き立てられた。 「黙れ!貴様! あのスパルタのレオニダスだけは! 殺しても殺したりぬ! 撤退だと?ならばヤツの首を持ってこい!」 クセルクセスは乱心していた。 完全にござっていた。無理もない事である。 筆山の前代未聞に傍若無人な 悪鬼羅刹の如き罵詈雑言を 数日間に渡って又聞きし続けた結果 彼の精神は取り返しのつかない 深淵にまで落ち込んでしまったのだ。 「王よ。お鎮まり下さい。 我々に呪術のお許しを下さいませんか」 一人の ローブで顔まで隠した怪しげな初老の男が 腰を曲げてクセルクセスに近付いた。 「何だ貴様は!貴様はアレだな! ヤバい邪教徒の!誰だ! こんな奴らを連れてきたのは!」 「は。私です。 怖れながら、窮地の役に立つかと思い。 出過ぎた真似を致しました」 一人の近衛が 剣を突き立てられる覚悟で名乗り出た。 傍らには、先程の側近が 血だまりを作って事切れている。 「なんだと! いくら我がペルシアが宗教に寛容だとて! こやつらは危険過ぎると! あれほど禁じたはずであろうが!」 「は。こやつらの邪なるは否めません。 しかしこやつらの魔術は本物です。 何卒、一度試してみて頂きたく」 近衛の男は その魔術を目にしたことがあった。 それは紛れもない邪悪であった。 しかし、その怖ろしさは本物であった。 近衛の男は、魔術を怖れた。 怖れるが故に、どうしてももう一度 その恐怖を 己が目で確かめてみたくなった。 そして近衛の男は 筆山の言葉を更に悪辣に さらに辛辣にして盛りに盛った。 何のためか。今、この時のためである。 クセルクセスを狂わせ、前後不覚にし 魔術の許可を得るために。 男は王をその欲望の犠牲に捧げた。 「いいいいい!良いだろう! 貴様ら邪教徒が! レオニダスの首級をあげられたなら! 貴様らを正教として認めてくれるわ!」 クセルクセスは、怒りの余り 痙攣が治まらない 脳髄の赴くままに命令を下した。 王の中の王は、もはや人格を放棄して 荒れ狂うノルアドレナリンの 奴隷と化していた。 「ありがたき幸せ。では仰せのままに」 邪教の男は、そう言うと 霧のように移動宮殿から姿を消した。 王から奴隷へと堕ちたクセルクセスは 定まらない視点を暴れさせて その姿を探した。 網膜の片隅に、先程の男と同様に ローブを纏った邪教の者たち数人が 円を描いて 儀式的な動きをしているのが映った。 「弾薬が尽きましたが、 いかがしたものかね」 筆山が少し困惑気味に絵守に問いかけた。 「まさかこれだけ削っても 撤退の気配を見せないとは。 クセルクセスは乱心したか。 しかし難しい局面だな」 絵守は何かを警戒して考え込んでいる。 「一体、何が難しいと言うのかね。絵守君。 敵はもう削られ過ぎてベラベラだよ。 こっちはまだまだ元気一杯の三百だよ。 いや、二百か。 弾薬部隊にペルシャ兵の装備を着せて 弓兵として後方支援 してもらったらどうかな」 「死人を引剥ぐのに何の躊躇もないとは 随分立派なスパルタになったもんだね 筆山君。 しかし、敵はまだ八万。 こっちが三百だとしても 一人当たり二百五十以上は 倒さなきゃならない計算だ」 「相手は指揮系統もグシャグチャだし 何より士気がベロンベロンだから 何とかなるってば。 やってみなきゃわかんないじゃん。 それに、クセルクセスが撤退しない今が ヤツの首を取る好機だよ」 「それはどうかな。 撤退しないには撤退しないなりの 理由があると考えるのが自然だが。 何か特殊な部隊でも温存しているとか」 筆山と絵守がそんな問答を繰り返していると 遥か彼方の移動宮殿の上空に 渦を巻いていた黒雲が怪しく光った。 それは、黒い光だった。 漆黒の稲光が轟き 無数の刃となって曇天を切り刻んだ。 やがて、その裂け目を突き破るようにして 巨大な灰色の柱が顕れた。 果たしてそれは、骨であった。 一体どれだけの大きさなのか 目測もつかない、規格外の足の骨。 それに黒雲が纏わりつき、固まり 闇色の肉となって、骨を覆った。 次いで骨盤、脊椎、肋骨、腕、頭。 骨は裂け目から次々と躍り出た。 黒雲がそれらの肉となり やがてそれらは一つの 大いなる邪悪を顕現した。 六つの羽に六つの角。 三つの顔の正面にユダを咥えた魔王。 サタンが 移動宮殿を跨いで大地を踏んでいた。 「時空を超えて来てみれば 我を呼びしは貴様らか」 サタンは邪教徒たちに目を向けた。 邪教徒たちは、サタンが大地に立った時に 運悪く丁度その足裏の位置にいたため その場に真っ赤な花を咲かせていた。 「絵守君。 あいつ、埋まってた下半身引き摺り出したら あんなにでかかったんだね。 森ビルよりでかいよ。 そして僕たちには今 ヤツの凍て付く波動に対抗するための炎が 一欠けらもない。どうしようかね」 「筆山君。これはちょっと 想定の範囲外どころじゃない。 君、また奇跡で巨大ロボとか出せないかい」 「無茶を言うんじゃない。 今の僕は神の血を引けど、神に非ず。 奇跡を怒らせて寄る辺のない ただのフィジカルの塊さ」 「あれは筋肉でどうこうなる次元じゃない。 しかし何故サタンが此処に? 僕らを追って来たのか?」 絵守が蒼ざめた顔でそう呟いた。 🍎アカリ🍎 X 𝐈𝐧𝐬𝐭𝐚𝐠𝐫𝐚𝐦 公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁ブログ一覧
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