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ジューダス・クライスト【第五話】お題:異世界転生・歴史探訪 嘘つき同士の友情・最期の晩餐 希望と空虚・臆病者・快楽に溺れる 据え膳食わぬは男の恥 正解と正しいは違う・推し活沼 気が付くと、私は木骨と土壁でできた 梁むき出しの粗末な家の これまた更に粗末なベッドで 仰向けに寝かされていた。 「気がついたかい。 まあしばらく股に布押し当てときゃ済むよ。 これであんたも女だね」 中年の女が古布を 何枚か枕元に置いてそう告げた。 あれがおそらく私の母親だろう。 そしてこれは初潮というやつか。 つまり私は、なんということでしょう。 女になっていた。 性別まで変えるなんて、いくら神でも 適当が過ぎるんじゃないかしら。 しかしこれは、私の昔からのある疑問を 確認できるチャンスでもある。 それは何か? 性的な興奮の問題である。 言うな。私は決して変態ではない。 だが、全男性紳士諸君を 代表して敢えて言おう。 男と女が入れ替わる物語は 古今東西に数多ある。 しかして、それに劣情を覚えた という描写は稀有だ。 私はずっと思っていた。 「そんなわけあるかい」と。 こんなうら若き乙女の体が目の前に 否、自分自身であるのに これを楽しまない インポテンツがあるものか。 ということで私は 己の全身をまさぐってみた。 断っておくが 決して厭らしい気持ちからではない。 これは性科学向上のための貴重な触診であり 私は人類の偉大なる飛躍の礎となるため 甘んじてこの変態の謗りを 免れないような行為に 殉職の如き精神で以て この身を捧げているのだ。 それでも私を非難する者があるならば よし私も男だ。 その挑戦、受けて立とうじゃあないか。 私は逃げも隠れもしない。 そして今の私は女だ。 もし少しでも乱暴に触れた男があったなら 即豚箱行きだ。 さあ、大声を出されても良いなら どこからでもかかってくるがいい。 ところが、己の身体と認識するや否や 私の精神はもはやこれに 何の劣情も起こそうとしない。 股間もすっかり大人しい。 あいや、そういえば 今の私は竿なしなのだった。 それにしてもズキズキする。 何だか何もかもどうでもよくなってきた。 正直に言うと、私はこの夢のような展開に 期待と股間を膨らませていた。 あいや、股間はズキズキするだけだけど。 それでも見果てぬ情欲に 胸がときめいていたのだ。 ところが、なんですかこれは。 ただの私じゃないですか。 私が私に興奮するわけがないでしょう。 嗚呼、もう嫌だ。夢が壊れました。 今考えてみれば なんて汚らわしい発想なのかしら。 己がことながら軽蔑しちゃうわ。 そんなね、己にむしゃぶりつくくらいなら 豚肉でも買った方が よっぽど上等でしょうよ。 何故そんなこともわからないのかしら。 大戯けめ。恥を知りなさい。 っていうかね。 ぶっちゃけ私、多分これ ジャンヌ・ダルクなわけじゃないですか。 そんでまぁ、この、女の身体の大変さ? 凄いじゃないですか。 こんなしんどい身体引き摺ってね。 地元の軍事拠点まで行ってね。 そこの守備隊長、説得してね。 そこから幾つもの イングランド領、掻い潜ってね。 地獄のような道のり経てね。 シャルル七世に会ってね。 オルレアンで頑張ってね。解放してね。 シャルル助けてやってね。 それから数多の戦場で 突撃バーサーカー繰り返してね。 そんで最終的にシャルルに裏切られてね。 見殺し火炙りとかね。誰がやるかってね。 そういうことをね。私は言いたいのね。 わかりますよね。ね。ね。 ドンレミ村の朝は早い。 六時には羊や牛の世話。 家事全般に教会通い。 気が付いたら一日が終わっている。 田舎は地味でも都会より忙しい。 殊にここ中世フランスとなると 忙しいどころじゃない。 事ある毎に ブルゴーニュ派の敵兵が攻めてくるし。 その度に山間や谷間にスタコラ避難。 戻ってみたら略奪に放火。 逃げ遅れたが最期。 犯され殺され放火され 無事でいるのは教会くらい。 なんだか祈るのも馬鹿らしくなってくる。 私がここ、ドンレミ村に来てから かれこれ2年が経とうとしている。 そう、私は ドンレミ村から一歩も出なかった。 「ジャンヌ、もう声は聞こえないのかい?」 「はぁ?なんのことでしょうか?」 「いや、あなた。王太子に会いに行くって」 「冗談言わないでくださいよ。 あなたがT-34をおひとつくれる というなら考えますけど」 「T-34?」 「21世紀の秘密道具です」 「でもフランスを救わなきゃって…」 「まあ、なんて不遜な。 そんな預言者気取りなこと言っちゃ イエス様から鞭が飛びますよ」 しつこく絡んでくる 井戸端おばさんを冷たくあしらうと 農夫がニヨニヨしながら近づいてきた。 「なあジャンヌ。今晩あたり…」 私は微笑みながら、男の唇に 人差し指を当ててなぞるように撫でた。 私は、あれから 村一番のヤリマンになっていた。 何故か。 ある日、村の男に誘われて 試しに交わってみたら、これが極楽浄土。 男の時には想像もできないほどの快楽。 小指の耳の穴に入れて穿った小指が男 耳の穴が女の感じる快楽だと 聞いた事があったが、そんなもんじゃない。 こればっかりは 両方経験してる私にしかわかるまい。 そしてこの時代には 逞しい農夫がいくらでもいた。 男の時分は 女に柔らかい肌ばかりを求めたものだ。 だが、女になると話が変る。 男の魅力は、鍛え上げた筋肉の硬さである。 その厚い胸板を枕に眠る恍惚は 巨乳枕に勝るとも劣らない。 据え膳食わぬは男の恥…いや女の名折れ。 私の名前は、もはやドンレミ村に止まらず ロレーヌ地方の名物となり フランス人はおろか イングランド兵までもが、私を求めて 遠くから押しかけてくるほどだった。 一体、もう何人の筆卸をしただろうか。 「筆山の、筆を取っても、筆卸」 我ながらキツい一句ができてしまった。 そんな淫蕩に日夜明け暮れ 快楽に忙殺されているうちに フランスは滅びた。 私はイングランド兵と ベッドを共にしながら 豪奢なベッドの上で 雅な天蓋を見つめながら 微睡に堕ちていった。 🍎アカリ🍎 X 𝐈𝐧𝐬𝐭𝐚𝐠𝐫𝐚𝐦 公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁 ※𝐈𝐧𝐬𝐭𝐚𝐠𝐫𝐚𝐦開設したので フォローお願いします✨ ※公式LINEが凍結してしまったので 再登録お願いします🙇♀️ブログ一覧
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ジューダス・クライスト【第三話】お題:異世界転生・歴史探訪・ 嘘つき同士の友情・最期の晩餐 希望と空虚・臆病者・快楽に溺れる 据え膳食わぬは男の恥 正解と正しいは違う・推し活沼 気が付くと私は、掘立小屋の中にいた。 なんか長袍に身を包んだ 荒くれ者な感じの奴らが屯っている。 何処だ此処は?集会所? 桶狭間で善照寺は燃えた。 私は今川義元に討たれ炙られ 今川焼きになったんじゃなかったのか? 「兄者、いい加減に観念しねえか」 虎のような髭を生やした骨太マッチョが 怒ったような顔をしている。 その横には、長身マッチョが ヴィダルサスーンみたいな感じで 二尺はありそうな サラサラな黒髭を撫でている。 「そもそも兄者は漢の高祖 劉邦の末裔だとか言ってるけどさ。 それだけじゃもう限界だって」 「言うな張飛。 それがなくなったら兄者は ただの四十七の草鞋編みのおっさんだ」 二尺髭が割って入る。 どうやら私はまた死ねなかった。 というか元の世界にも戻れていない。 そしてさっきから兄者兄者って 私はこいつらの長兄なのか? 「その、じゃあ僕は君たちの兄として 何をしたらいいのかね?」 目の前に詰め寄る巨漢二人を前に 恐る恐る聞いてみた。 「だから言ってるじゃねえか。 荊州に未だ誰にも仕えず勉強ばっかしてる 臥竜って奴がいるから スカウトに行こうって」 「臥竜?隠れた逸材的な?」 「優秀にも関わらず 未だ曹操にも孫権にも下っておらん。 これは我らの好機ですぞ」 二尺髭も虎髭と意見は同じらしい。 嗚呼、なるほどね。 今度は私、劉備玄徳ですか。 脳筋みたいな連中の集まりなわけだ。 だってこんな学も身分もない フィジカルだけのおっさんのとこに 頭良い人材が集まるわけないもん。 こんなアウトローばっか集めて。 もう義賊っていうか山賊じゃん。 アウトレイジじゃん。 ファッキンジャップくらい わかるよバカヤロー。違う。 ここは今ファッキンチャイナだ。 玉無し野郎のせいで宮廷がメチャクチャだ。 いや、玉はあるのか。竿がないんだった。 竿がないのを馬鹿にされ 性欲あるのにヤれもせず。 そりゃ宦官も性格歪みますわな。 そもそも竿切り落とす時点で 生存率半々みたいな話だったけ。 でも十常侍のせいで乱世乱世。 黄巾の乱れより 睾丸の乱れの方が問題ですわな。 って私はさっきから何を言っているのか。 幸い私にはちゃんと玉が二つある。 実弾も二発ある。 この虎髭と二尺髭が かの燕人張飛と美髭公関羽だろう。 ただこの二人も脳筋には変わりないわけで じゃあ私はやっぱり臥竜こと諸葛亮孔明に 例の三顧の礼とやらをしなきゃならんのか。 やだなぁ。あいつ絶対性格悪いもん。 大体アラフィフの私が 二十代の小僧相手に頭下げに行くって もう行く前からキツい。 でも脳筋だらけのこの空気はもっとキツい。 「乗るしかねえって。 このビッグウェイヴに」 「兄者。ご決心なされい」 張飛と関羽に半ば無理やり諭されて 私は隆中の山道を登る羽目になった。 何故か外来語を使った張飛が ヴの発音の時にこれみよがしに 下唇を噛んでみせる感じが なんか凄くしんどかった。 上り坂もしんどかった。 大男三人は道中無言であった。 道はそんくらい険しかった。 これを三回もやるのか。 いや、二度と御免なんですけど。 そう思っているとボロい庵が見えてきた。 「もし。臥竜の先生はおりますかな」 玄関口で声をあげて尋ねると 茶坊主みたいなのが出て来た。 「兄は留守です」 すんごい無礼な、素っ気ない態度で 茶坊主はそう抜かした。 「ほう、では君は諸葛亮の弟の諸葛均君かね」 「え?何故私の名前を?」 私は詐術に打って出ることにした。 こんなところに三回も来てたまるか。 「私には神通力がありましてね。 その者の本性を 一瞬で見破る力があるのですよ」 「マジか兄者。すげえ」 張飛が神を見るような目で私を見ている。 許せよ弟。今お前の兄は稀代の詐欺師だ。 「兄君がわざと留守を装って 私を試そうとしていることもお見通しです。 いや私も舐められたものだね。 こんなことは私のような 仙術使いにとって児戯に等しい。 さあ、諸葛亮を出しなさい」 「無理です。兄は帰りません」 「ほほう。 まだ私を謀ろうというのかい坊主。 そもそも私は諸葛亮が 竹藪の中に隠れているのを ここに来る前に見かけているのですよ」 「え?本当か兄者」 「ええ。バレないと思って ニヤニヤ笑いを浮かべていましたね。 実に不快な顔でした」 これは事実だった。 私は史実をしっていたので 竹藪を注視しながら進んできたのだ。 ビンゴだった。 殴りたくなるような含み笑いだった。 思い出したら何だかムカついてきた。 「しかし、何と言われようと とにかく兄は留守です」 「ではその兄はいつ帰ってくるのかね?」 「わかりません」 「それもそう言えと兄に言われたのかね」 「はい」 「この指示待ち人間のド餓鬼が!」 私は茶坊主こと諸葛均を殴り飛ばした。 矮躯な諸葛均は 茶の間まで吹っ飛んで行った。 「兄者!子供相手に何をなさる!」 「そうだぜ!いくらなんでも大人気ねえや!」 髭兄弟が揃って非難の声をあげた。 「うるさい! こんな自分のないガキが増え過ぎたせいで 我が日本はすっかり骨抜きの イヌイヌのダメダメじゃないか!」 私は怒声を張り上げた。 諸葛均は茶の間で失禁したまま動かない。 「何をいってる兄者? にっぽん?なんだそれ? あんた気狂いになっちまったのか?」 張飛がドン引きしている。 関羽は茶の間に上がり 諸葛均の体を検めた。 「…兄者。小僧は死んでおりますぞ」 関羽がドン引きしながら言った。 私は絶句した。 やめろ。そんな目で見るな。 私は最近の若者の 根性を叩き直してやろうと正義の鉄槌を…。 帰り道。皆、無言であった。 途中の竹藪の間から 諸葛亮が嗚咽して臥せっているのが見えた。 誰も何も言わなかった。 そして軍師を欠いてグダグダなまま 博望坡の戦いが始まった。 兄弟二人は目も合わせてくれなかった。 私はヤケクソになって 総大将の夏侯惇へ向かって単騎駆けした。 その途上、横合いから馬の嘶きが聞こえた。 次の瞬間、目の端に、 白刃が一閃するのを見た。 私は気付けば低い地べたから 倒れ伏した己の首なし胴体を見ていた。 「その手で幼きを虐る外道。 もはや、我が主にあらず」 大刀が、鈍い光を放ちながら 鮮血に曇っている。 「桃園の誓い、ここに潰えたり」 関羽は青龍偃月刀を振った。 赤が弧を描いて土に散った。 🍎アカリ🍎 X 𝐈𝐧𝐬𝐭𝐚𝐠𝐫𝐚𝐦 公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁 ※𝐈𝐧𝐬𝐭𝐚𝐠𝐫𝐚𝐦開設したので フォローお願いします✨ ※公式LINEが凍結してしまったので 再登録お願いします🙇♀️ブログ一覧
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