-
次の記事
-
Blog@arabian
ジューダス・クライスト【第二十二話】お題:異世界転生・歴史探訪 嘘つき同士の友情・最期の晩餐 希望と空虚・臆病者 据え膳食わぬは男の恥 正解と正しいは違う そして、現実は偉い事になっていた。 地が、裂けている。 私の股の下で、裂けている。 「おい、これはどういうことだ筆山君!?」 「炎は、止まったのか?」 「嗚呼。 しかし見ての通り、今度は地割れだ!」 地割れは、私の股下から エルサレムの果てまでを切り裂いていた。 その割れ目が、どんどん広がっていく。 群衆が、パンが、建物が それに呑み込まれていく。 地割れは、もはやエルサレムそのものを 呑み込もうとしていた。 私はどうしようもなくそれを眺めながら 範馬勇次郎のように両脚を大開脚して 地割れの真ん中に辛うじて留まっていた。 「絵守君。どうやらここまでのようだ。 時間がないから簡単に説明する。 僕はまず奇跡を眠りから叩き起こした。 これによって奇跡が起きた。 パンの奇跡だ。 次に私憤の熱でその軌跡を燃やした。 これによって奇跡は 僕がオコした奇跡に性質が変わった。 僕がオコ(怒)した奇跡というわけだ。 その結果が炎の奇跡だ。そしてこの地割れ。 これは、おそらくだが 僕が奇跡を怒らせたせいだ。 奇跡が怒った。 つまり奇跡が起こった、というわけだよ。 怒った奇跡が起こって 僕たちをエルサレムごと 滅亡させようとしているんだ」 絵守はわけがわからないというような顔で もはや開脚が限界な私の顔を 呆然と見続けている。 いや、それよりさっさと 手を貸して欲しいんですけど。 もう限界なんですけど。 「つまり、よくわからんが これは結局、君のせいということか?」 「結局、という言葉を使えば、まあそうなる。 しかし僕は奇跡を三度も起こした。 これは仏でも難しいぞ。 ジューダス・クライストの 面目躍如じゃないか。 そりゃあ、結果は思うようにいかないものさ。 しかし、僕はやれることはやったんだ。 というわけで早く手を貸してくれ。 このままじゃ股が裂けて 雪印北海道100になってしまう」 「君。よくも最後の最期でやってくれたね。 僕は最期まで君を信頼して 逃げずにいたのに。 そもそも地割れが起こる前に 君はエルサレムを 火の海にしてしまっている。 おかげでもう僕たちは、名誉の死も 英雄としての誉れもへったくれもない。 君のせいだ。 僕は君と心中なんて御免被るね。 というわけで失敬する。 君はそこに落ちて 十二使徒に逃げられた人望の無さを 地の底で反省したまえ」 絵守が私を見捨てようと踵を返した。 「そうはいくか、この裏切り者!」 私は乾坤一擲の力を振り絞って 地の側面を蹴り 絵守のマントに飛び付いた。 「うわ!何をする!やめろ!嗚呼!」 絵守の上半身が後ろへ傾いだ。 それはそうだ。 私はマントに飛び付いたものの 既に私の足元には その着地を担保してくれる場所など どこにも残っていなかった。 必然 私は絵守を奈落へと誘うただの重しとなって マントに纏わりついた形になった。 バランスを崩した絵守は そのままマントに引き摺られるように 地割れに吸い込まれた。 私は絵守のマントにしがみ付きながら 落下する浮遊感に身を任せた。 黒焦げのローマ葡萄パンが 己たちにつられる様に落ちていくのが 遥か遠くに見えた。 🍎アカリ🍎 X 𝐈𝐧𝐬𝐭𝐚𝐠𝐫𝐚𝐦 公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁 ※公式LINEが凍結してしまったので 再登録お願いします🙏ブログ一覧
-
-
前の記事
-
Blog@arabian
ジューダス・クライスト【第二十話】お題:異世界転生・歴史探訪 嘘つき同士の友情・最期の晩餐 希望と空虚・臆病者 据え膳食わぬは男の恥 正解と正しいは違う 「絵守君。 君は僕を王にしたかったようだがね。 僕は王じゃない。 王であればその器に注がれた 皆の希望の重さを背負い 此処を潔く動かずに、死を選んだだろう。 だが僕は違う。 僕はお猪口一杯分の願いしか 背負っちゃいない。 それでいて皆の希望でできた海を 自由自在に動けるのさ。 その海の先には何があると思う?奇跡さ」 奇跡は己の中には顕れない。 何故なら奇跡は己の規格外の場所 すなわち器の外にあるからだ。 そして私のお猪口は 希望の海の離れ孤島に 奇跡的に辿り着いていた。 そこには ビキニパンツ一丁でサマーベッドに寝転ぶ グラサンにスキンヘッドの 浅黒細マッチョがいた。 私は直感した。 こいつが、こいつこそが奇跡だ。 「さあ、見せてあげよう。 これが君によって叩き起こされた イエス・筆山…否。 ジューダス・クライストの真の力だ。 『奇跡なんて起きっこない』というその思い 裏切って全部救ってやるよ。 おい、いつまで寝てやがる! 起床の時間だ!奇跡!」 私はお猪口から孤島に向かって大跳躍し 成層圏ギリギリまで上昇。 そこから大気を全身に吸い込んで これを逆方向に口から噴射。 弾道ミサイルの勢いで孤島へと急転直下。 呑気に鼻提灯を作って寝ている奇跡の鳩尾に 成層圏からのダイビングニードロップを クリティカルにお見舞いした。 孤島の地面が爆ぜ、表土が吹き飛び その地表には直径十二mほどの クレーターが穿たれた。 奇跡はサマーベッドごと 体を立位体前屈のように折り曲げながら 地中に5mくらいめり込んだ。 肋骨や脊椎、その他諸々が あらゆる臓器と共に爆砕した奇跡は 勢いその口から 大量のコッペパンを吐き出した。 奇跡が吐き出すコッペパンはとめどなく やがて希望の海全域を 自由に踏んで渡れるほど 隙間なく埋め尽くした。 そして、現実でも 同じようなことが起こっていた。 「そんなに暇で退屈なら 大仕事をくれてやるよ。 ウェスパニアヌス!」 私の掌から噴出した 那由他の彼方たるコッペパンは 神殿内のローマ軍を埋め尽くした。 パンは押し合い潰れ合い練り合って 白きマグマのようにローマ軍を 窒息・圧死させながら 外に押し出していった。 ローマ軍はそのまま一気に 街の中央を割って後方まで押し戻された。 湿った小麦の塊に押し潰された彼らは もはやパンと混ざって、その表面に 葡萄パンの粒々のように浮き上がっていた。 街の広場中央には 所々に黒い粒状になった ローマ兵の成れの果てを装飾した 何とも因果で巨大なパンが完成していた。 その中央。 ローマ葡萄パンの頂上辺りに あの野郎がいた。ウェスパシアヌス。 さっきまでふんぞり返って 余裕をかましていたその面貌からは すっかり血の気が引き 面白いくらい真っ青に塗り改められている。 彼の胴体はローマ葡萄パンの中に呑まれ 首だけがひょっこり出ている状態だった。 ウェスパニアヌスの顔は その頂点に添えられたブルーベリーのように ローマ葡萄パンを彩る ワンポイントアイテムと化していた。 「さあ仕上げだ!焼きたてにしてやるぞ!」 「筆山君!もういいんじゃないかな!?」 「うるさい! こんなコンビニ価格百二十円みたいな 冷えたコッペパン これが神のパンって言えるかい? 否!そういえば僕は以前 焼きたてのパンになりたいと 願ったことがあったが 運命もヤキが回ったもんだ。おかげで僕は 焼かれるより焼く方に 回ってしまったんだからね!」 言い終えて私は再び丹田に力を入れて チャクラ的なものを練り上げた。 今度はそれに 『私をクサした文壇の 大御所気取り作家の顔』 を思い浮かべて拵えた怒りの熱を加えた。 そしてそれを、前回と同じ要領で 己が掌から噴出させた。 掌から溢れ出るものが、コッペパンから 紅蓮の炎へと変わった。 それは街を覆い尽くし ローマ葡萄パンをコンガリ焼き上げた。 その頂上で ウェスパニアヌスが地獄のような顔で 悲鳴をあげて苦しんでいる。 はは。おもろ。 「神に背いた天罰、思い知ったか! この大御所気取りの三流文筆家が!」 「凄いぞ筆山君! ところでいい加減 僕たちも熱くなってきたというか 街全体が火の海というか このままじゃジェノサイドヘヴンというか」 確かに当の私も もはや一酸化中毒で倒れそうだった。 しかし止まらない。 さっきから炎が止まらない。 なんということだ。 偉大なる神の手が 滅びの魔手に染まっていく。馬鹿な。 そんな不道徳なことがあってたまるか。 私は奇跡に文句を言いに 再び己が心象世界へと潜っていった。 🍎アカリ🍎 X 𝐈𝐧𝐬𝐭𝐚𝐠𝐫𝐚𝐦 公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁 ※公式LINEが凍結してしまったので 再登録お願いします🙏ブログ一覧
-
