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Blog@arabian蟹道⑤恐る恐る我が家族の面々を見やると 父、母、兄、姉までもが 蟹食する手を止めることなく ただ目線のみ冷ややかに 私の顔を凝視していました 目は口ほどにモノを言う とはよく言いますが あれほど雄弁な眼光たちには 今後の人生に於いても中々 お目にかかれるものではありませんでしょう 「本当にこの子はウチの子かしら?」 「お父さんが橋の下から 拾って来たんじゃないの?」 「アカリ家の面汚しめ」 「勘当しちゃおうかな」 「こんな妹に食べられる蟹は 永遠に浮かばれやしないよ」 流石に言い過ぎやろ! と言いたくなるほどに 私を責め苛む四つの目 まずい、これでは 折角の蟹の味もわからなくなる 咄嗟にそう判断した私は おもむろに卓上の蟹に手を伸ばし 掌いっぱいに掴み取ると 一目散に自室に退避 籠城蟹食作戦に出ました 我ながら思い切ったものです 🍎アカリ🍎 ꫛꫀꪝ✧‧˚X 公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁ブログ一覧
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Blog@arabian蟹道③そしてお葬式にて 我らが童子がついついやってしまい 後に大人から落雷を受けること 必至な堪え事 「決して笑ってはならぬ」 「やってはいけない」というわれると やりたくなるが天邪鬼なる童子の サガというもの 更に大人たちは馬鹿正直に その言いつけを守って 決して口に自由を許さないものですから それが妙に可笑しくて 悪気なく笑気が込み上げてくるのも 致し方ありますまい 私は大人の怖さを 知らぬわけではありませんでした 実際、ある親戚のお葬式の席にて一度 思わず笑いを堪え切れず 噴出してみた折には 斯様な過ちは生涯二度と犯しませぬと 母上様の御前で心の奥底から誓うほどに 「不謹慎」という概念についての教育を 訥々と親戚一同衆人環視の前で 受けたものです あのような辱めを受けるくらいならば 蟹を無言で平らげることなど 造作もないこと そう、思っていました 🍎アカリ🍎 ꫛꫀꪝ✧‧˚X 公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁ブログ一覧
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