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Blog@arabian蟹道④しかしながら人の反省というものは 油断と隣り合わせのハッピーセット 家族全員が食卓に揃っているにも関わらず ただただ静寂の中に 規則正しく刻を刻むかの如く木霊する 「パチンッ…パチンッ…」 そして私はつい 蟹食をしながらも横目で その音の主、母の顔を見てしまいました 母は、およそ私が人生において あれほど真剣な人間の顔はみたことがない というほどの まるでコンスタンティノーブルを 攻め落とす直前の メフメト二世の如き剛相をしていました 「プッ…!ブファアッ…!」 言い訳の仕様もない程に見ごとに 口の中の蟹が宙空を舞いました やってしまった 完全にやってしまった しかしやってしまったものは仕方がない ここは居直り強盗よろしく この後この身に降りかかるであろう ケラウノスに備えて 我が心中の泰然自若なるところに コンセントレーションすることにしよう そう覚悟していた私に しかし雷どころか 低周波すら浴びせられることは ありませんでした 🍎アカリ🍎 ꫛꫀꪝ✧‧˚X 公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁ブログ一覧
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Blog@arabian蟹道②当時おぼこであった私でさえも 家族内の同調圧力からそのルールを ぼんやり把握していたのですから 日本人の気配を察する能力は かの戦闘民族もかくやというところです さてそのルールというのが 大変お行儀のよろしいもので 蟹を食べている間「誰も喋ってはならぬ」 という古式ゆかしき日の丸式 食卓に蟹が鎮座している間は いつもテレビにアレコレと 文句を付けている我が両親も まるで伴天連の洗礼時の如く 真剣な面持ちに変容したものです 「パチンッ…パチンッ…」 皆が音も経てず 集中して蟹食に没頭している中 大バサミを片手に蟹を解体する 母の甲殻裁断音のみが静寂に木霊します この時の雰囲気を 私は今でも鮮明に覚えています そう、例えるならば あの空気は、親戚のお葬式 相違点と言えば坊主が母に お経が甲殻裁断音に 取って代わっただけでしょう 🍎アカリ🍎 ꫛꫀꪝ✧‧˚X 公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁ブログ一覧
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