～前回のあらすじ～ 林檎は没収してアテナが ヘラの果樹園に戻しときました   ｢…フッ… どうやらここまでのようだな…｣ ｢王！どうしたんですか！ 柄にもなくテンションの低い！｣ ｢…テンションを上げ続けた 結果がこれだ…思えば漫画でも テンションの高いヤツから死んでいく…｣ ｢だから漫画と神話を 一緒にせんでください！神話はむしろ テンションで乗り切るものですぞ！｣ ｢…どうせ俺は 漫画の読み過ぎなのだろう？…｣ ｢そうですよ！神話なんて酔っぱらって 書いたとしか思えないんですから！｣ ｢…今の俺には酔っ払いの 掌の上で踊る元気もないのだ…｣ ｢そんな甕の中に入ってちゃ 踊るもクソもないでしょう！ほら！ いい加減世の中というだだっ広い ダンスホールにお出でなさい！｣ ｢…それよりも俺は貝になりたい…｣ ｢ああもう！面倒臭いなこの人！ そんな甕の中にばかり入ってるから 兎に置いてかれるんですぞ！｣ ｢…だから早くその兎を眠らせるか 月に送るかしろといっているんだ…｣ ｢大体！王があの化け物に 出鱈目な試練ばかり押し付けなければ！ 報復を恐れてそんなに 怯えることもなかったんですぞ！｣ ｢…お前達が仕返しされないような 試練を考えなかったからだろうが…｣ ｢簡単な試練じゃ試練にならないと 言ったのは王でしょうが！｣     ｢…でも全部クリアされてるし… ひょっとしたら仕返しなんて 考えてないかも？…｣ ｢馬鹿言わないでくださいよ王！ こんなに無理難題ばかり出されてたら 誰だって仕返ししたくなりますって！｣ ｢…この…お前らッ…！｣ ｢そもそも今更！そんな甕の中で テンション下げたところで 昔の過ちは贖えませんよ！｣ ｢…誰が過ちだ!お前らが寄ってたかって ボンクラなせいだろうが！｣ ｢…フッ…お早いお帰りで…｣ ｢ぐぬぬ…！｣ ｢諦めたらそこで世界終了ですぞ？｣ ｢縁起でもないことを 言ってんじゃあない！｣ ｢どうすんだ！？ オケアノスの果てまで飛ばしてもダメ！ 世界の果てまで飛ばしてもダメ！ どこに飛ばしてもアイルビーバックだ！｣ ｢もはやマルコ･ポーロも びっくりですよね｣ ｢泣きの一回なんだぞ！ 文字通り後がないんだぞ!背水の陣だぞ!｣ ｢それです！むしろその 背水に突き落とすのはどうでしょう？｣ ｢なんだと！？｣ ｢そう！そこにはこの世の果てより 先があるじゃないですか！｣ …この試練もやっと終わりかぁ… 思えば色んなとこ行ったなぁ… ヘラクレス旅行記とか出版したら バズらないかなぁ… 早くもそんな打算的なことに 考えを巡らせていたヘラクレスに １２の試練、最終課題！ 『冥府の番犬､ケルベロスを捕獲せよ』     ｢なんだぁ？今度は冥界だって？ 冥界なんて死ななきゃいけないじゃんか!｣ ヘラクレス、流石に今回は途方に暮れる ｢クソ！こうなったら！ よく考えりゃアテナに黄金の林檎 取られて不死になれなかったのも 何かの縁かもな！｣ ｢思えば今までよく生きてたもんだ！ 死んでみるか！ 頑張ってハデス説得すれば 生きて戻れるかもしれねえし！｣ 脳筋ヘラクレス、手っ取り早く 自刃しようとする！ その時！女神アテナが現れた！ ｢おやめなさい!捨て鉢になってはダメ! ヤケになるのはあなたの悪い癖よ！ 今まであんなに頑張ってきたじゃない！｣ ｢アテナ様！違いますよ！ 俺だって冥界に行くために 仕方なくなんです！ やるしかないんです！ 止めないでください！｣ アテナはヘラクレスから 剣を取り上げると 強烈なビンタをお見舞いした！ ｢痛い！この暴力女神！ 親父にもぶたれたことないのに！｣ ｢どこまで馬鹿なのですか！ 自殺など 英雄のすることではありません！｣ ｢だったらどうやって 冥界に行けってんです！｣ ｢…ここだけの話… 冥界へ挑むだけなら 道を知っていれば可能です…｣ ｢ええ！？そうなの？危ねえ！ 死ぬとこだった！ 早く言ってくださいよ！｣ ｢だけど、あなたが冥界へ行くには まず儀式が必要だわ｣     ｢豊穣の女神デメテルの神殿で 行われる密儀、それが冥界へ 行くための準備となるわ｣ ｢へえ、どんな儀式なんです？｣ ｢罪の穢れから身を清める儀式よ｣ ｢俺、罪を償うために この試練やってんですけど…｣ ｢あなたが清めるべきは別の穢れ… 第４の試練中に、賢者ケイロンを 殺してしまったでしょう？｣ ｢！！…師匠のことは…ホントに… 何てことをしてしまったのか…｣ ｢あなたはまだ罪の意識に 捕らわれたままでしょう？ 付いて来なさい｣ ヘラクレスは女神アテナに連れられ エレウシスの祭儀堂へ向かった… そして、豊穣の女神デメテルと 冥界の女王ペルセポネへ捧げられた エレウシスの秘儀…その創始者である トラキアの王エウモルポスによって その殺戮の罪を清めて貰うことに… ｢闇の深淵にて重苦にもがき蠢く雷よ！ 彼の者に驟雨の如く打ち付けよ！ グラビティプレス！！｣ ｢ｯ…！ぬぐああああｯ…！！｣ ヘラクレスの体に 恐るべき重力が圧し掛かった！     ｢！？…凄いぞ！ これを耐えれたのは君が初めてだ！｣ ｢おめでとう！これで無事に 罪も浄化されたことだろう！おお神よ！ この者に聖なる加護のあらんことを！｣ ヘラクレス、浄化完了！ ｢本当に死ぬところだったぞ！ 俺じゃなきゃ死んでたろあれ！｣ ｢穢れを清めてもらったんだから 文句言わないの｣ ｢耐えれたのは君が初めて とか言ってたし！絶対いつも 殺して冥界送ってるだろ！｣ ｢あなたそもそも最初は 自害して行こうとしてたじゃない？ 万が一死んだとしても 冥界に行けるんだから問題ないでしょ｣ ｢アテナ様こそ命は大事にみたいなこと いってませんでしたっけ！？｣ ｢生死においてイチイチ細かい事を 気にしてはいけませんよ｣ ｢…これだから戦の神は…同じ戦神の アレスもろくなもんじゃないし…｣ ｢…今、アレスと私を 一緒にしましたか？…｣ ｢…いえ…なんでもありません… 負けました…アテナ様は今日も 勝利の女神だなぁ…｣     ～次回、ヘラクレスの冥界下り～   🍎アカリ🍎   ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp アカリの全貌はこちら♥️