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Blog@arabian️📝冥府の渡し守カロン~前回のあらすじ~ 本当に存在ごと浄化されそうになった エレウシスの秘儀(?)にて死にかけるも 穢れを清められ いよいよ冥界へと向かうヘラクレス 「ここから先は適役に任せるわ… ヘルメス?」 伝令神ヘルメスが現れた! 「ん~?あれ?君まだ死んでないじゃん? 連れてっちゃっていいの?」 「事情が事情だけに特例よ… それじゃ後は任せたわ」 女神アテナは立ち消えた! 「え?ヘルメス様が知ってるんですか? 冥界への道!」 「まあ冥界に死者の魂を導くのも 俺の仕事だからね~♪付いて来なよ!」 ヘルメスに連れられギリシャ本土の 最南端にあたるタイナロンの岬へと やってきたヘラクレス 「え~と…この辺り…ああ!ここ! こっから冥界に降りれるよ♪ それじゃあ早速行ってみよう!」 「え?付いてきてくれるんですか?」 「観光ガイドはいた方がいいっしょ? 冥界は始めてだろ?まあ力抜けよ!」 「いや…初めてに決まってるし… 力なんて抜いてたら魂抜けませんか?…」 「まあ、そん時はそん時! あんま細かい事気にしないの!」 「…なんかこいつら神々が こんな大雑把だから 地上で人死にが絶えないんじゃないか って思えてきた…」 冥界の入り口に差し掛かると 河が流れており、川岸には 獣の皮を縫い合わせて作ったような 小船が繋いであった そして小船の傍に ボロを纏い櫂を持った 長髭の不愛想な老人が 文字通り眼光を光らせて立っていた! 「すごい!あの爺さん目が光ってる! 鳥目の逆なのかな?」 「この先に行くにはカロンに 1オボル(銀貨1枚)を渡して ステュクスを渡らせてもらわなきゃ なんないってわけ♪」 「ええ!?冥界でまで金取るんですか!?」 「ただで船に乗せて貰えるわけないだろ? お金を持ってない場合は 一番最後になっちゃうから…」 「そうだな…大体…順番待ちで… 100年か200年は ステュクスを彷徨う羽目になるね♪」 「俺は死んでないんで そんな待てません!」 ヘラクレス、カロンに近付くと 1オボルを渡した! 「これで冥界の彼岸まで頼む!」 「…お前…生者だな? …生者は船に乗せるわけにいかん …帰れ…」 「いや!そこを何とか! ケルベロスを冥界から 地上に連れて来いって 上から言われてるんだよ」 「…何だと!?アホか! 益々乗せるわけにいかんわい!」 「そこを何とか!用事が終わったら すぐに連れて帰るから!」 「話にならんわ! ハデス様の怒りに触れんうちに とっとと帰れこの筋肉ダルマ!」 「いいから言う通り船を出しやがれ この眼球発光ジジイ! ヘラクレスヒュドラチョーク!」 「…(ºωº)ブクブク…」 「ストップストップ!ヘラクレス君! カロンもうタップ!タップしてるから!」 「俺は聞き分けの無いジジイを締め上げる やり方でここまで来たんだよ!」 「それ冥界でも 大声で言うことじゃないよ!」 「オラ!いつまで寝てんだジジイ! さっさと船を出すんだよ!」 「…ハデス様…お助け…うう…」 「なるほど! もっと大声で言わねえとわかんねえか! ジジイ鼓膜貸せや!」 「ひいい!やめてくれ!わかった! 船出すから!急いで出すから!」 地獄の渡し守カロン、暴力と恫喝に屈し ヘラクレスを彼岸まで 渡らせることにッ…!! 「さすがは冥界だな!亡霊だらけだ! おっ!あれはヒュドラか?あっちは ゲリュオンとかいうヤツだったかな?」 多くの死者の亡霊が彷徨う中 かつてヘラクレスが倒した怪物達も 彼のことを恨めしく またどこか懐かしく思うかのように 彼の元に姿を現しては 逃げるように消えていく 「…なんだ?みんな逃げてくな? おーい!」 「…そりゃあ 君にあんな目に会わされたら みんな近づかないだろうよ…」 そこへ、ヘラクレスの祖先に退治された メデューサが現れた! 彼女はヘラクレスの元へと 真っ直ぐに向かってくる! 「おお!?なんだあいつ! 俺はあんな蛇女知らないぞ!やる気か!?」 急接近してくる メデューサに驚いたヘラクレス! 剣を抜いて切り掛かる…が! メデューサの亡霊には実体がなく 剣はすり抜けてしまう! ヘラクレスの眼前に メデューサの顔が近づく! 「…あなたがあの男の子孫…あの男… ペルセウスに対してのように… アテナ様の寵愛が… あなたにもあるといいわね…」 メデューサの亡霊は ヘラクレスの耳元でそう呟くと… 霞の如く消え去った… 去り際の彼女の顔は… 少し寂しそうにも見えた… 「…なんだ?敵じゃなかったのか? それにペルセウスって… 俺の曽爺ちゃんのことだよな?」 「あれは、ただの亡霊に過ぎない… 特に害成すものではないよ…」 そう語るヘルメスの顔も どこか切なげであった 「…なんかアテナも曽爺ちゃんも あの女との間に色々あったんだろうな…」 ヘラクレスはそう言うと 船が彼岸に着くまでの間 冥界に漂う亡霊達の姿を ただ見つめていた ~次回、あれテセウスじゃね?~ 🍎アカリ🍎 ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp アカリの全貌はこちら♥️ブログ一覧
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Blog@arabian️📝 ギリシャ狸合戦ドンドコ~前回のあらすじ~ 父からの説教に涙する娘達 娘達に教育の叱責を飛ばし 約束通りヘラクレスの元へ 黄金の林檎を届けに戻るアトラス 「…しかし…こうして体を動かしたのも 久しぶりだな…大地を踏みしめるのが こんなにも軽やかで 気持ちのいいものとは… すっかり忘れていた…」 「…この林檎をヘラクレスに渡したら… またあの地獄に戻るんだな…」 「…そもそも そうまでしてやる必要があるのか?…」 「…だってあいつ、そもそも弟と通じて 俺を騙そうとしたんだし その上、俺に暴言吐いて突き飛ばしといて 挙句パシリに使ってるわけで…」 「…よく考えたら そんな人間との約束守って またあんな役目を担う 義理なんてなくないか?…」 そして、ヘラクレスの元へ 辿り着いたアトラス 「よお!無事に林檎 持ってこれたみたいだな! さすがはお父さんだぜ!」 「…お前はみたところ 随分まだ平気そうだな」 「まあ、これくらいはな! ちょっと首の角度がしんどいけど!」 「…ところで俺は久々に動いたものでな もう少し運動したいんだ!」 「この林檎は ティリュンスまで届けるんだろう? よし!ここはひとつ俺が 往復ひとっ走り行ってこよう!」 「長旅で疲れてるお前と違って 俺は体力が有り余ってて 仕方がないからな!」 「巨人の俺が全速力で向かえば ここからティリュンスまでを 往復したとて、きっとお前の 片道の時間より速く戻れる! 任せといてくれ!」 アトラスは何とかそのまま 苦役を押し付けてトンズラするため 慣れない口八丁を使って ヘラクレスを言いくるめようとした! 「ああ!そいつぁ俺としても助かるな! だが一つ問題がある!」 「強がっちゃいたが やはり天空を担ぐってのは 並大抵じゃないな! どうも体勢が苦しくっていけねえや! 特に首が苦しくてね!」 「だから、ちょっと頭に円座を装着して 体勢を整えてもいいかい? それなら首も据わって安心して あんたが戻ってくるまで 天空を支えてられる!」 「ああ!そういうことなら勿論! 支え慣れるまで苦しいのはわかるぞ! どうぞ体勢の準備を整えてくれ!」 「それじゃあ、俺が円座を装着する間 ちょっと天空支えててくんな! ちゃちゃっとやっちまうからよ!」 「承知した!…ヨッ…っと… さあ、今のうちに円z…」 アトラスが天空を 入れ替わりに支えて振り向くと 既にそこにヘラクレスの姿はなかった… 「アトラスの野郎! 嘘を付くのに慣れてない癖に 俺を謀ろうなんてするからだぜ! 欲と企みが透けて丸見えだっての!」 「正直者が馬鹿を見る世の中ってのも どうかと思うけど…今回の件は… あいつがプロメテウスっていう ロクでもない弟を持ったせいだな!うん!」 「まあアトラスも 今回で人を騙す知恵を付けたんなら そのうち俺以外に押し付けて 自由になれんだろ!」 …このヘラクレスの予想は大きく外れ アトラスの苦役は、彼がペルセウスを 見て黄金の林檎を盗みに来たと勘違いし 攻撃を仕掛けたところを メデューサの石化アイビームで反撃され その結果、彼がアトラス山脈に 姿を変えるまで続くのであった… (時系列なんて気にしちゃダメ! 所詮神話なんだから!) こうして長い長い旅を終え ティリュンスへ 黄金の林檎を持ち帰ったヘラクレス 「どうだ!約束通り 持って帰って来たぞ! こいつが黄金の林檎だ!」 「なんだと!まさか本当に 持って帰ってくるなんて… こんなことが…」 「ええい! そんな林檎なんざくれてやる! 俺は次の試練を考えねばならん!」 「ええ!?メチャクチャ大変だったんだぞ! 俺だって別にいらねえよこんなもん!」 「…そういやこれって 喰ったら不死になったりすんのかな? 神々の林檎だし…」 すると、そこへ女神アテナが現れた! 「コラ! 滅多なことを 考えるんじゃありません! なにを齧ろうとしてるんですか!」 「ええ!? だって林檎は食べるものでしょうよ! それとも飾ってろっていうんですか!?」 「これは人間が持っていて 良いものではないんです! それに、あなたはただでさえ 女神ヘラの恨みを買ってるというのに…」 「とにかく!黄金の林檎は没収です! 殊に、女神ヘラの所有物は 本来の場所以外の 何処にも置いちゃダメなんです!」 「この林檎は私が責任をもって 女神ヘラの果樹園にある 黄金の林檎の木の元へ 戻しておきますから!」 「全く!勝手なことをされて 怒られるのは私なんですからね! 以後!くれぐれも気を付けるように!」 女神アテナは 一通りの叱責をしてから立ち消えた 「…なんで俺が怒られるんだろ…」 ~次回、ヘラクレス第12の試練~ 🍎アカリ🍎 メールでのご予約も待ってます✨ ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp アカリの全貌はこちら♥️ブログ一覧
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