～前回のあらすじ～ 巨人がジョジョってた   …これはヘラクレスが ゲリュオンの牛を求めて旅をし リビアを通った時のこと… ｢お前がヘラクレスか！｣ ｢なんだ？随分でかい巨人だな！｣ ｢俺の名はアンタイオス！ 地母神ガイアと 海神ポセイドンの息子だ！｣ ｢ああ！どおりでデカいわけだ！ お前３０ｍくらいあるだろ？｣ ｢２７ｍだ！ ハッハッハッ！惜しかったな！｣ ｢そこは勝ち誇るとこじゃないと思うぞ｣ ｢そんなことより、俺と勝負しろ！｣ ｢え？なんで？｣ ｢俺は強い奴を殺すのが好きなんだ！｣ ｢うわぁ…タチ悪いこいつ…｣ ｢お前の大事な物も殺して奪ってやるぞ!｣ ｢なんだよ、ただの追剥ぎじゃねえか｣ ｢違うね!殺したヤツの髑髏と宝物は全部 父ポセイドンの神殿に飾ってあるのさ!｣ ｢…悪趣味だから 辞めた方がいいぞそれ…｣ ｢趣味は人それぞれだろう！｣ ｢ポセイドンも迷惑してるんじゃねえか？ 喜んでたら息子同様にヤバいけど｣ ｢ここを通り掛かった屈強そうな旅人は 全て殺し捧げてきた！ 息子が強者を倒した証を立てて 喜ばない親などいるはずがないだろう!｣ ｢…リビアの人達には同情するぜ…｣ ｢アンタイオスは『向かい合う者』 の意だ！俺の挑戦を受けてもらうぞ！｣ ｢…拒否権は？｣ ｢ない！俺に挑戦されたなら 殺すか殺されるかだ！｣ ｢それじゃ挑戦じゃなくて ただの殺害予告だろ！｣     ｢お前がどう取ろうが構わん！ とにかく俺と戦え！｣ ｢仕方がないな…こんなヤバい奴 世の為、人の為にも、野放しに出来ん!｣ ｢さあ来い英雄！ お前の力を見せて見ろ！｣ ｢デカいからって調子に乗るなよ！ これでも喰らえ！ ヘラクレスロックバスター！！｣ ヘラクレスは道端の巨岩を引っこ抜いて アンタイオス目掛けて投げつけた！ 岩石はアンタイオスの胸部中央に命中し 大きなクレーターを作った！ ｢ガハッ…！！｣ 吐血し膝をつくアンタイオス！ ｢巨体に胡坐を掻いてっから そうなるんだよ！ 死にたくなけりゃ降参しな！｣ ｢…良い攻撃だ！これはお返しだ！｣ ｢…え？嘘！？｣ アンタイオスの拳が 巨体に似合わぬスピードで飛んできた！ ヘラクレス、巨大な拳を 蹴りつけて跳ね返す！ ｢あのダメージですぐ動けるとは！ なんてタフさだこいつ！｣ ｢俺の拳を軽々蹴飛ばすか！ しかしあんな投擲がお前の全力とはな!｣ ｢なんだと？誰が全力だコラ！｣  ヘラクレス、今度は大木を引っこ抜くと 凄まじい膂力でもって投擲！ …アンタイオスの胸部に大穴が空いたｯ…! ｢…ぐ…は…｣ ｢調子に乗り過ぎだデカブツ！ せっかく少し褒めてやろうとしたのに!｣ アンタイオスの巨体が大地に倒れる！ ｢…やっぱ長旅は変なのに絡まれるなぁ… 先を急がないと…｣ その時！ ヘラクレスの背中に衝撃が走った！ ｢まだ勝負は付いちゃいないぞ！｣ アンタイオスは立っていた！ 蹴りの直撃を背中に受けたヘラクレスは 数ｍ大地を引きずった！ ｢えええ！？傷が塞がってやがる！？｣     アンタイオスの胸の穴は塞がっていた！ ｢こいつ再生するのか！ ならこいつはどうだ！｣ ヘラクレスはヒュドラの毒矢を放った！ 矢はアンタイオスの額に命中！ 猛毒に侵されみるみる 体が朽ちていくアンタイオス！ ｢…マジかこいつ…」 しかしアンタイオスは立っていた！ ヒュドラの毒に朽ち果てたかと思った 体は見る間に回復し 気色も元の通りになっていた！ ｢これはとんでもない猛毒だな！ 死ぬかと思ったぞ！｣ アンタイオスはそのまま 踏みつけて来た！ 受け止めるヘラクレス！ ｢こいつ！力が上がってやがる！ どういうことだ！？｣ アンタイオスの足を押し返し そのままアンタイオスの頭上まで 跳躍したヘラクレス ｢これでも再生できるかよ！？｣ ヘラクレスはアンタイオスの頭蓋に 棍棒を叩き込んだ！ そしてそのまま落下しながら アンタイオスの体中を勢いのまま 出鱈目に殴りつけた！ 一撃ごとに命中したアンタイオスの 体の部位が次々と吹き飛んでいく！ ヘラクレス、最後の一撃で アンタイオスを背中から叩き落し アンタイオスは大地に大穴を空けて グチャグチャになって倒れ込んだ！ ｢ふぅ… これで生きてたらもう不死身だな…｣ …するとアンタイオスの体が 輝きを放った！ 元通りの体に戻っていくアンタイオス！ ｢はああ…やっぱりね…｣ ｢お前凄いな！凄い力だ！ 本当に死ぬほど痛かったぜ！｣ アンタイオスの打撃が ヘラクレスに降り注ぐ！ ｢クソ！やっぱり復活する度に 力が上がってやがる！ なんなんだよこいつは！？｣     ｢ハッハッハッ！わからないか？ 不思議でしょうがないって顔だな！ 冥途の土産に教えてやろう！｣ ｢俺の母は地母神ガイア！ その加護と共に生まれた俺は 大地にこの体が 触れている限り無敵なのさ｣ ｢お前が俺を何度倒しても 俺は大地から力を吸収し無限に復活する! その度に俺自身の力も無限に強まる！｣ ｢無論、それなしでも俺に 力で勝てる者など限られていたがな！ ここまで何度も俺を打ち倒したのは お前が初めてだ！｣ ｢しかし!お前はもう消耗し始めている！ 既に力で俺とお前はほぼ互角だ！｣ ｢どうだ！絶望したか？ だがまだ終わってはいない！｣ ｢さあ来い！このままお前が死ぬまで 戦いを続けようじゃないか！｣ ヘラクレスは心の中で ｢…こいつ全部弱点教えてくれる タイプの敵だったんだな… 早めに聞いときゃ良かった…｣ と思った！ するとヘラクレス 素早くアンタイオスの下に潜ると おもむろに足首を掴んだ！ ｢ヘラクレスタイガーバターハリケーン!!｣ そのままグルグルと ジャイアントスイング！ 徐々に回転のスピードは加速していき アンタイオスは 扇風機のプロペラの如く振り回され ｢ヘラクレスジャンボ トラベルアナザースカイ！！｣ その勢いで上空に放り投げられた！     ｢なんだと!?クソ！平衡感覚がッ…！｣ ｢大地っていうママが後ろにいねえと 何も出来ねえんだろ！？｣ ヘラクレスは大空へ飛び上がり そのままアンタイオスの 首元に組み付いた！ ｢…！カッ…！…ハッ…！…｣ ｢いい歳こいてマザコン野郎が！｣ ｢地面に着くまで生きてりゃいいな！｣ ｢ヘラクレスネメアライオン チョークスリーパーver.レッグロック!!｣ ヘラクレスの両足が恐ろしい膂力で 空中のアンタイオスの首を締め上げる！ そして巨人とヘラクレスは そのまま墜落し 轟音と共に地面に激突した！ …抉れた地面の中で アンタイオスは息絶えていた… …彼の首は明後日の方向に捻じれたまま 二度と起き上がることはなかった… 空中で死体となった彼は 地面に降ろされても復活しなかった… 土煙の中から ヘラクレスが起き上がってきた ｢そういやこいつ ファザコンの気もあったな… マザコンってかファミコンだな！｣ こうしてヘラクレスは 暴虐のファミコン巨人 アンタイオスを絞め殺し 旅路へと戻ったッ…！ …ちなみに世界最大のカブトムシ 『ヘラクレスオオカブト』は 角で相手を挟み 空中まで持ち上げて投げつける その戦いぶりが その名の由来とされている… …リビアのリュンクス市近郊では アンタイオスの墓と２７ｍもの 巨大なアンタイオスの遺骨が 発見されている…     ～次回、ヘラクレス第１１の試練～   🍎アカリ🍎   ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp アカリの全貌はこちら♥️