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Blog@arabian🤴断頭台のメアリ~前回のあらすじ~ メアリー「鎧もはがれ 翼までもがれたというわけか!」 軟禁中といえど イングランドの重臣達は メアリーという危険人物をいつまでも 生かしておくつもりは全くない 英国秘密警察長官 フランシス・ウォルシンガム は何とかしてメアリーと彼女を担ぐ 陰謀者のエリザベス打倒計画の 確証を掴もうと躍起になっていた ある日、メアリーの元に かつて自分の近侍であった 青年貴族アンソニー・バビントン からの手紙が届いた バビントンの部下により 極秘裏に持ち込まれたその手紙には カトリック教徒による エリザベスの暗殺と その後のメアリーを擁しての 反乱計画が記されていた ここ1年間 外部との接触を絶たれていたメアリーは 大喜びで同意の書状をしたためた スパイマスター、ウォルシンガムは この時を待っていた 彼はバビントンの謀略を察知しながら その上で不動の証拠を握るために メアリーがバビントンへ 直筆の手紙を書くまで泳がせていた しばらく後、突然メアリーの居室に イングランドの司直が乱入 家宅捜索を行い バビントンからの手紙を押収した この時、バビントンの一味は 既に逮捕・処刑されていた そしてメアリーのサインのはいった 書状が発見される… 一説にメアリの始末を望んだ 重臣ウォルシンガムの陰謀 とまで囁かれるこの事件 裁判は異例のスピードで進展 判決は無論、『死刑』 しかし、エリザベスはこの期に及んでも メアリーの死刑執行令状への サインを躊躇った サインした後も その令状を刑場に送るのを躊躇った 「貴族を処刑することですら一大事… ましてやメアリーは王位継承権を ずっと訴えてきた王族…」 「メアリーを処刑すれば王族殺し… 保身のために殺したとも思われる…」 「私の評判にも響く…築き上げてきた 女王のブランドにも傷がつく…」 「そしてカトリック女王の処刑… そんなことをすれば… それが招くものは…」 「何より…メアリー・スチュアート… 彼女は…私の…」 業を煮やした枢密院 エリザベスに無断で処刑の手筈を整える 「女王はいつものように 優柔不断に耽っている! さっさとやっちまえ!」 獄中のメアリーの元に イングランド政府の使者が訪れ 彼女に対する死刑執行令状を読み上げた メアリーは立ち会いの僧侶に カトリックを望んだが、聞き入れられず 英国国教会の僧侶を呼ぶ旨が 彼女に告げられたが メアリーはきっぱりと断った メアリーは従者たちに金品を分け与え 彼等の保護をフランスの親類に 頼む手紙を書き 自分はその所持する中で 最も豪華な衣装を着て 刑場に向かうことにした 翌日、真紅のビロードで縁取りした 黒絹の下衣に繻子の上衣を纏い カトリックであることを示す 象牙の十字架を頸にさげ 後ろに6人の従者をしたがえた姿で メアリーは刑場にあらわれた。 黒い布で覆われた刑場には 約200人の見物人が集まっていた 刑吏が死刑執行令状を読み上げ 英国国教会の僧侶がメアリーに対し カトリックからの改宗を勧告した メアリーはここでも己の信仰を貫き通し 伝統的なラテン式の祈祷を行った 人々の見守るなか メアリーはまず自らの霊魂のために祈り ついでエリザベスのために スコットランド・フランス イングランドのために 最後に息子ジェイムズのために祈り そして従者の手を借りて 黒の上衣とヴェールとを脱ぎ去った 下衣の紅い縁取りが人々の眼を奪う 女王に相応しい 威厳と美しさに満ちた最期の舞台 刑吏に促されるまでもなく メアリーは自ら 断頭台の上へとその首を差し出し 刑吏が彼女の両手をしっかりと捕まえた 大斧は3度ふり降ろされた メアリー・スチュアート 断頭台の露と消える 25歳で囚われの身となった彼女は 二度と故郷の土を踏むことなく 悲劇の最期を辿った 運命に翻弄されながらも 奔放に生きた女王 享年44歳であった メアリーの亡骸は ピータバラ寺院に葬られ 後に息子ジェイムズの意向によって ウェストミンスター・アベイへと移された メアリーの最期の地となった 刑場フォザーリンゲー城は この時のジェイムズの命により 跡形も名残も残さず破壊されたという ~そしてついにアルマダの海戦へ続く~ 🍎アカリ🍎 ご連絡はこちらブログ一覧
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Blog@arabian🤴祝福されざる結婚式~前回のあらすじ~ 犯人はヤス ダーンリー卿爆死事件 の捜査はロクに行われず 犯人に関する情報には 二千ポンドの賞金が約束された しかし、嫌疑をかけられた者は メアリーが手引きして こっそり亡命させる有様 イングランド女王エリザベスや メアリーの元姑フランス王母 カトリーヌ・ド・メディシスから 「犯罪者をしかるべく処罰するように」 との忠告の手紙が寄せられるも ほとんど無視 エディンバラの街角には 「ここに王(ダーンリ卿)の殺害者あり」 と落書きされたボズウェル伯の 似顔絵が貼り出され 人々はボズウェル伯とメアリー女王が この事件の犯人に違いないと噂し合った この説を裏付けるかのように ダーンリー卿への喪服も 超適当に済ませたメアリー 更にボズウェル伯の領地を加増するなど 亡夫への哀惜を示すこともなく 次第に増していく 自分への嫌疑を晴らすため 何らかの処置を取ろうとすらしなかった 一方のボズウェル伯もまた 考えなしであった 彼は仲間を集めて女王との結婚を 要求する署名を提出 それに対してメアリーが (何故か)即答を避けたところ… 手勢を率いて彼女を強奪ッ…! (ナニシトンネンコイツ!?) ダンバーの城に連れ込み 無理やりに結婚を承諾させた ダーンリー卿爆死事件から たった2ヶ月後のことである しかし既に妻帯者であったボズウェル伯 速攻で離婚手続きに取り掛かる エディンバラのコミサリ裁判所は 気の毒なボズウェル伯夫人の 味方をしたが、それはガン無視 他の裁判所にて 「あの時の結婚は法的に問題があった」 という屁理屈を無理やりに通し 正式な離婚許可を取り付けた こんな無茶苦茶して 元々野心満々で陰謀大好きな 他の貴族連中が黙って見てる とでも思ったんかいなコイツホンマ… そしてメアリーとボズウェル伯は 新郎の宗旨にしたがって プロテスタント式の結婚式を挙行 ダーンリー卿の死から3ヶ月 現在の感覚でも早すぎる再々婚 加えてダーンリー卿殺害の容疑が 付き纏っている新郎新婦 エディンバラ市民もローマ教皇も 良い顔をしない 祝福されざる結婚式であった しかし、というか思った通りというか ボズウェル伯の行動は 他の貴族達の大顰蹙を買っていた 結婚式の約1ヶ月後 不平貴族がスターリングの城に集まり プロテスタント・カトリックを問わない 広範な反ボズウェル・メアリー戦線を結成 メアリーとボズウェルも直ちに 軍勢を集めてシートンまで進出したが 再々婚に反感を持つ兵士達が戦闘を拒否 成す術もなくなった メアリーとボスウェル伯 あちこち逃げ回った挙句 カーバリー・ヒルにて 再々婚反対派の軍勢に降伏 「売春婦を焼き殺せ!」 「亭主殺しを焼き殺せ!」 メアリーは民衆の罵声を浴びつつ エディンバラに連行され ついにロッホリーヴンの城に 幽閉の身となる まだ24歳のメアリー・スチュアートは 退位を強制され、その5日後 生後13ヶ月の息子ジェイムズが スターリングでジェイムズ6世として戴冠 ちなみにボズウェル伯は カーバリー・ヒルから逃走して オークニー諸島に渡って 海賊の頭目となり その後ノルウェー海岸で デンマーク艦に囚われて ドゥラグスホルム城の 牢獄にぶち込まれ 12年後に狂死したらしいよ!やったね! …また、彼とメアリーの間にできた子は 流産したとも、生後闇に葬られたとも… 一応、この事件において メアリーに味方しようとした 貴族もいるにはいたんですけどね ジョン・ハミルトン卿 (フランスに亡命中の クソ爺アラン伯の次男) 等もその一人 メアリー軍に合流しようとして 果たせなかったけど まあ結局、彼も王冠目当てで 味方して恩を売ってメアリーとの結婚を 企んでたみたいですけどね ~メアリー、幽閉からの脱出へ続く~ 🍎アカリ🍎 ご連絡はこちらブログ一覧
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