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Blog@arabian
湯煙の国――人は湯に沈みながら 己の出涸らし具合を測るのである。 HSP、というものがあるらしい。 どうせヘンタイソープパラダイスの 略式であろうなどと高を括っていたら さにあらず。 その名はヒートショックプロテイン。 まこと人間の身体というものは どこまでも神秘の衣を纏っているもので 曰く 四十度から四十二度のお湯に身を沈めると このHSPとやらがふつふつと湧き立ち お肌が瑞々しくもちもちと潤うのだという。 肌が春先の桜餅のごとく うっすらと光を孕み、柔らかく蘇る。 なんともうらやましい話である。 ところでHSPという文字列 私は少しばかり 個人的な思い出を引きずっている。 ひとつは、昔むかし 繊細な人々を指す言葉として 聞いたことがある HighlySensitivePerson (ハイリー・センシティブ・パーソン)。 世界の機微をいちいち拾ってしまう 厄介な感受性。 故に疲れやすいが 物事を深く考える 知覚能力に長けるなど 哲学者向きなのかしら。 もうひとつは HSPと刻まれた古いマイクである。 学生時代、部室の部屋の床に転がっていた。 あの黒いボディに埃をかぶった哀愁。 まるで今宵の話とは何の関係もないのだが ふと記憶の隅が囁いたので つい横道に逸れてしまった。 さて、話を風呂へ戻そう。 HSP的には、週に二度か三度 湯船に浸かるのがよろしいらしい。 科学というものはかくも律儀である。 そこでふと思い出すのが アカリさんのことである。 彼女は週に四回以上 アラビアンナイトに姿を現す。 湯煙のなかに悠然と佇むその姿は 温泉まんじゅうよりも 御土産感が強いと評判である。 とすると、アカリさんなど HSP的にはとっくに湯に煮えられた 出涸らしなのではあるまいか と誰もが一瞬は思うだろう。 だが、ここでひとつ訂正をしておきたい。 アカリさんは豚足をこよなく愛している。 あの、ぷるぷると震える半透明の膠質が 夜な夜な彼女の体内で静かに コラーゲンへと変じ 明け方には再び 「もちもちのアカリさん」 として世界に立ち上がる。 人間というのは案外したたかである。 それにしても、皆さんもよくご存じのとおり 家のお風呂というのは 扱いがなかなかに面倒である。 湯垢、湿気、排水口… そこにはまるで小さな帝国が存在し 治安維持には細心の注意を要する。 だからこそ私は申し上げたいのだ。 アラビアンナイトにおいでなさい、と。 ちょうどよき塩梅の湯温と まろやかなる蒸気があなたを迎える。 壁は静かに光を反射し 湯面はゆらゆらと月影を宿す。 心まで、もっちりと やわらかくなること請け合いである。 どうぞ、いつでも もちもちしにいらしてください。 資本主義の湯船は 案外、悪くないものでござんすよ。 と、たまにはお店の宣伝も と思い立った結果 なんだか色々と間違えている気がします。 そんなにお風呂を推してどないすんねん。 という人もあるでしょう。 まあそこはそれ 恋するお風呂屋さんと銘打っておかねば お上に申し訳が立たないのでね。 銭湯気分でごゆるりとお越しください。 随分と値の張る銭湯ですがね。 オフロードなお風呂屋さんなもんでね。 ゴープロつけてるばりに トークロのテクでジョークを交えつつも 遠くの桃源郷へ誘いましょうぞ。 アラビアンナイトにまたいらっしゃいよ。 よし韻が踏めたぞ!スタコラ! 🍎アカリ🍎 X *⋆⸜𝐧𝐞𝐰⸝⋆*公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁 ※公式LINEが凍結されてしまいましたので お手数をおかけいたしまして 恐縮ではございますが 再登録をお願いいたします。ブログ一覧
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チェキとドーナッツ【下】そしてついに、順番が回ってきた。 遠くから眺めるのに 飽き飽きしていたはずのパーテーションは 間近に寄ると 生々しい時間の風を心にふき込んできた。 緊張が血中のヘモグロビンひとつひとつに 伝導して全身に行き渡る感覚がした。 心臓の鼓動がピッピッピッピッ っと速くなりすぎて もはや音が繋がってピー …とご臨終しそうだった。 前職でタレントに対しては 耐性がついているものだと思っていたが どうも推しというものは そんなことに関係ないらしい。 生れて初めて感じる逢瀬の胎動に 身体を強張らせつつ パーテーションの中に歩を進めた。 仕切りの中の狭い空間は 白く発光していた。 勿論、どこにも 特別な光源なんてなかったのだが 新しい光が広がっているような心地がした。 その中心にある テーブルを隔てた目の前に、彼女はいた。 少し幼さを残しつつも美しい顔立ち。 陰りも屈託もない笑顔。 小柄でスレンダーな体躯は 会場中の光を集めた中から飛び出して まるで空気をくり抜いたかのような くっきりとした輪郭を描いていた。 「わあっ!女の人やぁ! 嬉しい~!ありがとう!」 会った瞬間に、彼女の顔は 久方ぶりの親友と再会したかのように パッっと明るく開いた。 「初めましてですよね? どこで私のこと知ってくれたんですか?」 「エッ、アノッ、ワタシ イツモドウガデ、ミテマシタ」 余りの眩しいオーラに 私は影ごと小さく縮んでいきそうだった。 彼女は更に目を輝かせた。 「うわあ!なんや恥ずかしいなぁ~! でもアレで知ってくれた方も多くて! ありがたいですホンマに!」 キラキラした瞳が 真っ直ぐ私の眉間を的確に射抜いてくる。 「アノ、キョウ、ワタシ コウイウノクルノハジメテデ キンチョウシマスネ」 「ええ!ホンマですか? うわ~!嬉しいなぁ! ほんなら気合入れてサイン書きますからね!」 丁寧にイラストを添えて カレンダーに可愛らしいサインを描く彼女は その姿からさえ一生懸命さが伝わってくる。 「…ハイッ!どうですか?」 「スゴクカワイイデス」 「良かった~!」 その後、私は一通り 動画を通してとても感動しただのなんだのと お気持ち表明を一通り伝えた。 彼女はそれに逐一 これまた感動の籠った リアクションで返してくれた。 「じゃあじゃあ!チェキ撮りましょ! どんなポーズがいいですか?」 「ア、エエト、ナンカ、ドウシマショウ?」 「じゃあ、二人でハート作りましょう!」 彼女は自然に私の隣に並び 蝮の顎の形にした 左手を私に差し出してきた。 唐突な接近に私は 身体の前側の体積が粒子に削られて 影の中に逃げ込んでいく気がした。 そして ぎこちなく大福を掴むような形の右手を 蝮の顎に合わせた。 なんだか右肩上がりなハートが出来た。 シャッターが切られる瞬間 私はカチコチの表情筋を 無理やりに吊り上げた。 「ホントに来てくれてありがとう! 今日ホンマに会えて嬉しかったです!」 私は最期まで平身低頭の体であった。 彼女と空間を同じくした時から その輝きに圧倒されっぱなしだった。 しかして私は なんだか明日の活力に満ちていた。 これが推し活の効果だろうか。 彼女は終始笑顔で目を見て 凄く心から向き合って、壁なく喋りかけて 元気を与えてくれた。 そして彼女もまた 自分のためにここまで足を運んでくれた ファンに心から感激し、元気を増していた。 なんと健やかな永久機関であろうか。 チェキを見ると、夏の光のような笑顔と 波打ち際の巌のような笑顔が並んでいた。 あの場の空気そのものを 残酷なまでに切り取った かのような写真だった。 推しは、会いに行く前と後で 印象は何も変わらなかった。 天然自然、和顔愛語、温厚篤実 でもただの女の子で。 それが、とても嬉しかった。 本当にあんな子がいるなんてことが驚嘆だった。 そして、チェキを見ては なんだか心に穴が空いたような気分になる。 また推しに会いに行った時は 次こそシャンとした姿で チェキを撮れますように。 願いながら チェキを片手にドーナッツを食べている。 この甘い甘い外枠を食べ尽くしたら 心にぽっかり空いた穴もなくなるだろうか。 そんなことを適当に思いながら。 🍎アカリ🍎 X *⋆⸜𝐧𝐞𝐰⸝⋆*公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁 ※公式LINEが凍結されてしまいましたので お手数をおかけいたしまして 恐縮ではございますが 再登録をお願いいたします。 ※9月後半はお休みいたします。ブログ一覧
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