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Blog@arabian
シーザーは裸だ・臨――真理はいつも たったひとりの錯乱の中で生まれる。 己が何色であるか 皆さんは知っているだろうか。 私は何色にも染まりたくないと 青臭いことを思っていた。 天に照らされ地に影を落とすだけの 無色透明な無自覚・無宗教・無派閥 な人間でありたかった。 しかし駄目だった。 昨今は人間を人種以外にも色分けし 大和人同士でもこれを区分けし 相争わせようとする 美容業界の奸計がある。 全くBLMやLGBTQのいざこざから 一体何を学んだというのか。 私は孤独に戦うため自宅に竹槍を拵えて 日の丸鉢巻を頭に結び 胡坐をかいて業界が決壊する時に備えた。 しかし駄目であった。 お店の控室ではもっぱら ブルベ夏冬、イエベ春秋 モチベ軽薄、ゴチベ名古屋場所 などという言葉が乱れ飛び ついに私もこれに抗しきれず パーソナルカラー診断を受ける事となった。 私の竹槍は米国から飛来する 銀の悪魔の空襲を待たずして 土間に収納されることとなった。 今度こそは膂力全霊込めた投擲にて かの悪魔を米土の土に返してやろうと 自信満々だったが こんなイエベ秋な竹槍ではやはり無理だ。 秋というだけでなんだか切ないのに イエベというのはなんたることか。 イエローモンキーの 謗りを受けた日の丸鉢巻は 哀しみの余り張り裂けた。 鉢巻にしてみても 「考えてみればきっと自分は ブルベ冬であろう」 という事実がショック だったのかもしれない。 冬というだけで もはや我が国のイメージ的に 田中邦衛以外は敗北的である。 にも拘らず、更に以てメリケンより 齎されたブルーベリーを主食とするなど そりゃ、レゾンデートルを ゲシュタルト崩壊させてしまうのも 無理からぬこと。 かくして日の丸鉢巻もまた 竹槍と共に我が家で 不貞腐れる羽目となった。 結構的に我が家は今 常に年末調整中の 湯鬱さに支配されてしまっている。 なんと面倒くさいことか。 嗚呼、家に帰りたくない。 こうなったら私が パーソナルカラー診断を受けて 「モチベ灼熱」なる 天に差す日輪の如き診断を持ち帰り 我が家に光を取り戻すしかあるまい。 🍎アカリ🍎 X *⋆⸜𝐧𝐞𝐰⸝⋆*公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁 ※公式LINEが凍結されてしまいましたので お手数をおかけいたしまして 恐縮ではございますが 再登録をお願いいたします。ブログ一覧
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朱に染まる夜――資本の香水は 案外甘やかに人を包み込むものである。 胸中に黒雲がむくむくと湧き立つ。 アパレル店員という生きものが 私を讃えるたびに、私は決まって 眉をひそめずにはいられないのだ。 「お似合いですよ」などと来た日には こやつ、資本主義の尖兵にして 私の懐から福沢諭吉を さらい去る刺客ではあるまいか。 あいや、諭吉はもういない。 懐中にあるのはいかにも実業家然とした スーツ姿の渋沢栄一だ。 ああ、諭吉の羽織袴が恋しい。 だいたい千円札を金子泥棒に誂えるとは どういう了見であろうか。 野口を財布に入れると お金が減りそうな気がするじゃないか。 もう吉田松陰とかでいいじゃないか。 それともなにかね この期に及んでお上は 佐幕派しか認めないというのかね。 私とて攘夷、攘夷と 声高に叫ぶわけではないが 昨今の移民問題については流石に… と、危ない。 意識が政界に飛んで行くところであった。 ともかく、笑顔の裏に 薄く札束の亡霊がチラつく この店員を信じてよいものだろうか。 しかしながら、残念なことに 私には服のセンスというものが まるでない。 脳内世界においては 私はすでに何百回も ベストドレッサー賞を受賞している 華やかな英雄である。 なにしろ私の中では ローマ広場の噴水のように シルエットが洗練され 色彩が秩序立って湧き出る。 だが外部からの通信によれば 「配色錯乱・輪郭崩壊・通信ノイズ過多」 の三拍子が揃っているらしい。 無線機の向こうで ザーザーと雑音ばかりが鳴って、受信不能。 まったく失敬な話である。 そもそも我が国は資本主義の上に 自由主義の屋根を載せてこその 文化国家ではなかったのか。 なのにどうだ、この服屋ときたら。 赤いコートに黄のスカーフを組み合わせ 極彩色の全体主義を甘んじて受け入れよ と言わんばかりではないか。 赤というのは止まれの色である。 国家的に認定された警告色だ。 それに身を包もうというのだから 私はもう半歩で革命戦士である。 実に空恐ろしい。 これは困難きわまる問題だ。 己が美学を貫き、結果として 街路樹の影に縮こまるような窮屈さを選ぶか それとも店員の甘言に棹され 資本の奔流に身を委ねるか。 智に働けば角が立つ とはよく言ったものだが そもそも私はその智とやらを 一滴も持ち合わせていない。 であれば、角が立つのはこの場合 店員の人生の方ではないか。 さらば、私はただ 流れる蜜を啜る小さな蜂にすぎない。 ほらね、このように 望遠鏡の角度を二度ばかり傾けてみると 世の中というのは不思議と ハッピーセットな眺望を見せる。 鬼と仏が同居して 手を取り合って、セール中なのである。 結局、私は店員の示すままに その赤いコートを抱えて帰った。 鏡の前に立ち、自分の姿を見た瞬間 「なんと美しい鮮やかな赤だろう」 この色に染まってはならないと 警戒していたが、私は断じてこの赤を 全体主義の象徴に売り渡したりしないぞ。 鼻の奥が少し熱くなった。 赤は止まれである だが、その夜の私の心は、しんしんと 踏切の灯のように静かに灯っていた。 🍎アカリ🍎 X *⋆⸜𝐧𝐞𝐰⸝⋆*公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁 ※公式LINEが凍結されてしまいましたので お手数をおかけいたしまして 恐縮ではございますが 再登録をお願いいたします。ブログ一覧
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