万華鏡患者【破】
結局、私の家に程なくして万華鏡が届いた。
三角形に配置された三枚鏡が
色とりどりの無数の硝子片を
夢幻の空間に千変万化して魅せる。
これを眺める時間のなんと幽遠なことか。
まるで鏡の世界に吸い込まれていくようだ。
何とかして逆に私の方に
このミラーシステムを
吸収できないものだろうか。
そうすれば私は永遠の曼荼羅模様を
この世に顕現することができるじゃないの。
おや?曼荼羅?
そういえばこれ、曼荼羅に似てないかい?
さては万華鏡という代物は
曼荼羅をなんとか三次元的に
再現するためにできたのだな。
この中心から放射する秩序といい
無限に続くような広がりといい
曼荼羅に共通しているじゃないか。
あの唐突な欲望の発露は
万華鏡が私を曼荼羅に導く
因果律の連環だったのか。
いやはや、我ながらなんと勘の鋭いこと。
こんなにニュータイプなオナゴが
令和の浮世に在るなど
お釈迦様とて気づくまいて。
くわつはつはつはつ。
私は文学上でしか伝わらないような
高笑いをあげて、随分いい気になっていた。
全然、関係なかった。
万華鏡は、遠いスコットランドの
とある才気ある紳士が灯台の光を
遠くへ送るために鏡を研究している最中に
ついでのように発明したものらしい。
なんと軽やかな誕生であろう。
私は時を越えて彼に喝采を送りたい。
対して曼荼羅は
仏教の高名なる教えがあまりに難儀で
人々が首をかしげてしまうため
「ならば絵にして示そう」という
慈悲深い発想から描かれたものだという。
まったく共通点がない。
根の根から、まるで違う。
私は時を置かずして私に叱責を送りたい。
なんと私の脳は
都合の良い幻想を編み上げることか。
人間の錯覚というのは
こうした見当違いの恋にも似た
妄動から始まるものに違いない。
私はまたも、叶わぬ恋に夢を見てしまった。
そして目を覚ますと
己の勘違いに恥じ入り
自らの内なる呵責に身もだえしながら
小一時間布団の上を転げまわるのだ。
嗚呼、人生のなんと寂寞なることか。
閑寂の朝に張り付くは暁の嘲笑か。
🍎アカリ🍎
𝐈𝐧𝐬𝐭𝐚𝐠𝐫𝐚𝐦
公式LINE
✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp
ご予約詳細は🈁
※𝐈𝐧𝐬𝐭𝐚𝐠𝐫𝐚𝐦開設したので
フォローお願いします✨
※公式LINEが凍結してしまったので
再登録お願いします🙇♀️