～前回のあらすじ～ ついに十二の試練踏破！   「…なぁゼウス…弟よ… 相談事があるのだ…｣ ｢なんじゃ兄者？ 冥王ハデスがオリュンポスに 来るだけでも珍しいのに｣ ｢実は茶飲み友達が出来てな…｣ ｢ええ！？兄者に？｣ ｢頻繁に冥界に来ては 外の話を聞かせて貰っている｣ ｢…兄者に…友達が…？｣ ｢何だその心底意外そうな顔は！ 大体冥界を治める係は 俺とお前とポセイドンの三人で クジ引きで決めたんだろう！｣ ｢そうだけど…兄者、冥界にいって 一層凄い魔力で人を寄せ付けない っていうか…オリュンポスの神々も 兄者見て皆逃げちゃったし…｣ ｢なんだと！お前が気を利かせて 兄弟水入らずの話の為に 人払いをしてくれたんじゃないのか？｣ ｢でもワシの妻の ヘラまでいないんじゃぞ？｣ ｢…お前達とは違ってヘラクレスは 全然怖がらずに相手してくれるんだ！｣ ｢ヘラクレス？…あのヘラクレスか！？｣ ｢ケルベロスだってすっかり ヘラクレスに懐いちゃって… もう懐きすぎてるくらいで…｣ ｢そうかぁ…あのヘラクレスがねぇ… それで相談とは？｣ ｢それよ…ケルベロスが余りに ヘラクレスに懐きすぎる｣ ｢へ？まさか兄者､犬に嫉妬しとるのか？｣ ｢…そこで考えた… あいつは寂しいのだと… だから犬をあんなに可愛がる…｣ ｢兄者に言われたくないと思うがのぅ…｣ ｢…犬よりも愛する家族が あいつには必要だ…あいつには そもそも愛する妻がいただろう？｣ ｢え？まさかヘラクレスの 妻メガラを生き返らせろと？｣ ｢…あいつのためにも メガラは生き返らせてやるべきだ…｣     ｢でも…兄者が昔…甦りは 冥界の掟に反するって言うもんだから… 医神アスクレピオスを殺してしまって… あの後アポロンが暴れて 大変だったんじゃぞ？｣ ｢あれは死の運命を 無理やり捻じ曲げたからだ…｣ ｢でも、メガラだって ヘラクレスが癇癪起こしたせいで 自殺しとるんじゃぞ？｣ ｢あまり兄を舐めるな弟… メガラはヘラの八つ当たりで死んだ… つまりお前の浮気のせいで死んだ… お前が殺したも同然だ…｣ ｢うう…それを言われると…｣ ｢医神アスクレピオスはお前が 天に召し上げて蛇使い座にしたはず… ここオリュンポスにいるんだろう？｣ ｢…まあアポロンが あんまり言うもんだから…｣ ｢では我からも言おう… メガラを生き返らせろ… 断れば弟といえど容赦はせん…｣ ｢わかった！わかったから！ 兄者とやる気なんて毛頭ないって！ 冥界大戦争になっちゃう！｣ ｢わかれば良い… 弟は兄の言うことを聞くものだ…｣ 冥王ハデスは大神ゼウスに ヘラクレスの妻メガラの復活を 約束させると再び冥界へと戻っていった ｢…兄者…茶飲み友達ができて 余程嬉しいんじゃのぅ…あれワシを 本気で殺す目じゃったからなぁ… そりゃ皆逃げるわ… ワシだって怖いもん…｣ ｢それにしても… 兄者にあそこまで気に入られるとは… ヘラクレス…我が息子ながら 想像以上の豪胆に成長したのぅ…｣ そしてゼウスの意向により ヘラクレスの妻メガラ… テーベに復活ッ…！！     十二の試練を終えて…晴れて 子殺しの罪を許されたヘラクレスは… テーベの故郷…かつての家族達と 過ごした家に戻ってきていた ｢テリマコス…クレオンティアデス… デイコオン…ただいま… 俺は罪を贖えたんだろうか… お前達はもう戻ってこないのに…｣ 久々に帰郷でナイーブに耽っていると 家の中から甥っ子の イオラオスが顔を出した！ ｢叔父さん！やっぱり帰ってきてた！｣ ｢イオラオス！？どうしてここに？｣ ｢ずっとこの家ほったらかしてたら ダメになっちゃうでしょ？ だから僕、定期的に 手入れをしにきてたんだ｣ ｢お前ってやつは どこまで出来た甥っ子なんだ…｣ 甥っ子との久々の再開に 喜ぶヘラクレス…とそこに！ 思いがけない来訪者が！ ｢ただいま～…って！？誰？あなた達？｣ なんと！ 死んだはずのかつての妻メガラが！ ヘラクレスの家に帰って来た！ ｢…メガラ？…嘘だろ…？｣ ｢叔父さん！ ちょっと叔母さん逃げちゃうよ！ 僕ちょっと説明してくるから！｣ …復活したメガラは あの惨劇の日以前の記憶までしかなく… 年もあの時のうら若いままだった… …突然のことに呆然自失している ヘラクレスの代わりに… イオラオスはメガラを落ち着かせて 色んなことを話した… …ヘラクレスが犯した過ちのこと… 十二の試練のこと… 一緒に戦ったこと… 罪を許されたこと…     ｢…というわけで！叔父さんは今や 古今無双の大英雄なんだ!｣ ｢そうだったの…ごめんなさい…あなた… すっかり逞しくなってるもんだから…｣ ｢…気づいたら試練中に もう３０を超えていたからな… 気づけという方が無理だ…｣ ｢でも…そうまでして 罪を償ってくれたあなたを… 私は誇りに思います…｣ ｢…メガラ… お前は許してくれるのか…？｣ ｢あなたは充分以上なことを やってくれました… あなたの偉業は計り知れない… 私じゃ釣り合いが取れないくらい…｣ ｢じゃあ問題ないじゃない！ ２人でまた夫婦として この家で幸せになるべきだよ！ 叔父さんにはその権利がある！｣ ｢…イオラオス！ こんな３０過ぎのおっさんと こんなうら若い女が 釣り合い取れるわけないだろう！｣ ｢…ええ！？｣ ｢それに！この家をほったらかして 旅に出ていた俺が！ この家の主人なんて烏滸がましいこと 今更言えやしない！｣ ｢イオラオス！この家の主人はお前だ！ そして何とも丁度いいことに！今！ お前とメガラはとてもお似合いな 美女と美青年だ！｣ ｢…えええ！？｣ ｢メガラ！イオラオスは良い男だろう？ 旦那にするならこれ以上の男はいないぞ! 叔父の俺が保証する！｣ ｢いや…それはまあ… イオラオスはとても逞しくて イケメンになっててびっくりだけど…｣ ｢イオラオスを男としてみてどう思う!?｣ ｢それは…イオラオスの求婚を 断る女性はいないでしょうね… それぐらい逞しいわ｣ ｢ほら！イオラオスは メガラをどう思う！？女として！｣ ｢…そりゃ…叔母さんはあの時のままで… むしろ僕の方が年上だし… こんな若くて美人な人… 男なら誰もほっとかないでしょう…｣ ｢決まりだな！お前ら２人結婚しろ！ お前ら程お似合いな夫婦はこの世にない!｣     ｢…ちょ！ちょっと待って！ それは流石に！｣ ｢なんだ？不服があるのかイオラオス？｣ ｢いや､叔母さんの意思あってのことだし!｣ ｢メガラは何か不満があるのか？｣ ｢…いえ…それは…ないんですけど…｣ ｢流石に叔父さんに申し訳が立ちません!｣ ｢そうです！あなたにどう顔向けしたら いいというのですか！？｣ ｢だから！俺が許すと言っているんだ！ というより頼む！お前ら結婚してくれ！｣ ｢…それは本気で言っているのですね？ あなた…｣ ｢当たり前だ！ 本気じゃなきゃこんなこと言えるか！｣ ｢叔父さん…わかったよ！ 本気でそこまで言ってるんだね！ 叔母さん…メガラがもし良ければ！ 俺と結婚してください！｣ ｢…こちらこそ！ 前夫たっての願いらしいですものね！ あなたがそんなに言うなら お望み通りイオラオスと結婚します！｣ ヘラクレス、ほぼ無理くりに 蘇ったかつての妻と 甥っ子イオラオスをくっつけて 再び故郷テーベを後に旅立ったッ… ｢…どうしても許せないんだねあの人は… 罪を犯した自分が…メガラと復縁して… この地で幸せに暮らしていくことが…｣ ｢…あんなにも頑張って… やっと神々から罪を許されたのに… 本当に相変わらず不器用な人…｣ ｢叔父さん…気持ちは受け取りました！ 託されたからには！ 俺がメガラとこの家を守っていきます！｣ ｢ぶっちゃけ私も…いきなり生き返ったら 年上のオジサマと結婚って… ハードル高かったから…｣ ｢イオラオス！ 私も妻として恥じることのないよう あなたに尽くします！私の夫として！ これからもこの家を よろしくお願いします！｣ 罪を許されてなお！ 英雄は１人行くことを選んだ！ 新天地にて新たな人生を築くため！ ヘラクレスの新たな旅立ちが始まるｯ…！     ～次回、ヘラクレスの新妻探し～   🍎アカリ🍎   メールでのご予約も待ってます( ∩ •  ̫•)⊃ ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp アカリの全貌はこちら♥️