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シーザーは裸だ・者「本日はよろしくお願いします。 まずは簡単にカウンセリングをしてから ドレープ診断に入りますね」 彼女はにこやかに言い 私は生返事で頷いた。 ドレープ審査?なにかね クレープの次はそんなのが流行るのかね。 全く世の中の移り変わりには 付いていけないよ。 私は家辺で ブルーベリークレープ頬張りながら 眠りについてしまいたいと思った。 まず行われたのは「肌・髪・瞳」のチェック。 大きな鏡の前に座らされ、髪をまとめ 顔全体に光がまんべんなく当たるように ライトが調整される。 かろうじてスッピンではないと 言い逃れの余地を残した程度の 手前みそメイクは秒で剥がれ落ち コンシーラーで肌色を丁寧に整えられた。 あまりにも受動的な事物に 成り下がっているのもなんなので 眼前の鏡に問うてみた。 「鏡よ鏡。 世界で最もモチモチして 美しいのはだあれ?」 「それは正にあなた様…それ以外!」 私は鏡を叩き割った。 「では、ドレープ診断に入りますね。 最初はブルーベースの 冬カラーから試します」 変な妄想をしているうちに 検査は着々と進む。 私は指示待ち人間として 道なき道を羊飼いに救いを求める 羊のように歩いていた。 嗚呼、イエス様、私は今後一切 もうパンを与えたのだからパンを寄こせ などという愚かな経済論理性の中に 身を窶すことは致しません。 主よ、私を導いてください。 私の両手が祈りによって 塞がっているうちにも イエベ春子はグングン私の手を引いて 微睡みの中を切り開いてゆく。 青・濃紺・バーガンディ・グレー さまざまな布が、私の首元に掛けられ 鏡の中の顔が映り変わる。 もはや元の私の顔色が思い出せない。 次にイエローベースの春カラー。 コーラル、サーモンピンク、黄緑。 「どんどん顔色が悪く見えますね」 イエベ春子の思わぬ一刺しに 私は色を失った顔色に青みを取り戻した。 きっとあの時の私は ナガサワくんに嫌みを言われた時の フジキ君のような顔をしていただろう。 となればあの顔のまま固定していれば 私はブルベ冬を 手に入れられたのではないか? だってそうでしょう。 ナガサワくんは家が燃えた時の炎が ずっと顔にこびりついて きっとイエベ夏に違いない。 とすればそのナガサワくんは 何故にフジキくんに嫌みを言いながらも なんだかんだでツルんでいるのか? これはもしかしたら アメリカとインドのような関係性と 同質かもしれない。 ちょうど国が地球の真裏にあるもんだから 貿易に都合が良いという理由である。 つまり、しっかりとした利害関係でのみ 関係性の円滑を保っているのであって ともすればこの友情は経済論理性の外に出た 瞬間に瓦解してしまうやもしれない。 もしそれでもナガサワくんとフジキくんが 一緒にいられたなら それはそれは素敵なことです。 人はそれを愛と呼びます。 男と女、陰と陽、北斗と南斗 フリードリヒ大王とポンパドゥール夫人。 かくも対極にあるものは 惹かれあうものなのだなぁ。 🍎アカリ🍎 X *⋆⸜𝐧𝐞𝐰⸝⋆*公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁 ※公式LINEが凍結されてしまいましたので お手数をおかけいたしまして 恐縮ではございますが 再登録をお願いいたします。ブログ一覧
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シーザーは裸だ・兵駅前のコインロッカーに 黒いジャケットを預け ベージュのトートを肩にかけたまま 私は予約した パーソナルカラー診断の店が入っている お洒落ビルの前に立ち尽くしていた。 「この俺、この私こそが最先端だ」 と言わんばかりの表参道の 自我の塊のような我利我利地獄を抜けて 私の心は既に疲労困憊していた。 一体なんだってわざわざこんなに 個性が競争しているところに 好き好んで足を ノコノコ運ばねばならんのか。 私は家辺で ブルーベリーを味わっていたかった。 しかし今の我が家の空気が それを許さないのだから仕方がない。 進もう。 翼をもがれ、鎧をも剥ぎ取られた 足の不自由な世紀末の偉い人も言っていた。 「帝王に逃走はないのだ」と。 私だってよくは聞いていないが 生まれた時の体重が重過ぎて 男と間違えられて 赤子にして男部屋に ぶち込まれそうになった過去がある。 ならば帝王切開にて取り出された可能性も 当然高いのだ。 つまり私はシーザー。 マクベスだって倒せるぜ。 私は女の股なんて 頼りがいのないところから 生まれてないのだ。 大いなる、というか大きなる私は エイリアンの如く霊長類の腹を食い破って この世に爆誕したのだ。 いや、詳しいことはわからないが わからないからこそ もういっそ帝王切開でいこう。 ガイウス・ユリウス・カエサルの気持ちで。 そう、なんてったって 人生において大事なのは気持ち。 人生は素敵な勘違い。 しかしユリウス氏族の カエサル家のガイウス君 というのが本当なのに みんなにカエサル、カエサル とばかり言われるのはいかがなものだろう。 私でいうならば凱旋の折に 「アラビ万歳!アラビ万歳!」 と言われてるようなものである。 そこはせめてアカリ万歳と言って欲しい。 当のカエサルはどうだったのであろうか。 まあ家名の誉れと思えば 悪い気持ちではないだろうが。 私とて、アラビアンナイトの名が上がれば 嬉しいものであるしなぁ。 そもガイウス君なんて言われても グラックス兄弟の弟とかと間違われそうだし まあそんなことをいったら カエサルのお父ちゃんも ガイウス・ユリウス・カエサル。 お爺ちゃんも ガイウス・ユリウス・カエサル。 一体どう呼び分けていたんだろう。 大カエサル、中カエサル、小カエサル とかであろうか。 でもじゃあ、更に曾祖父や息子まで ガイウス・ユリウス・カエサルだったら? スーパーカエサルとか言って セルを完全体にして大恥をかいたり かたやカエサルジュニアとか言って 大みそかにRIZINファイターを ぶっ飛ばしたりして 小銭を稼いだりするのだろうか。 そしてエキシの亡者と成り果て ついにマイク・タイソンと 激突してしまうのだろうか。 やだなぁ。 タイソンが負けるのを見るのも メイウェザーが塩試合するのを見るのも どちらも嫌だなぁ。 と、うっかりメイウェザーなど関係のない ボクサーの名を口にしてしまったが まあ遡って そんなことはどうでもよいのだ。 命名という概念は何処にいったのだ全く。 という話だ。 更に遡って我に返れば 私は今からこのお洒落ビルに シーザーの心持ちで乗り込もう という算段であったのだ。 我は皇帝なり。 いや、皇帝になりたかったなり。 終身独裁官でありたかったなり。 ブルータス お前だけはゲヘナの底で、永遠にサタンに 咥えられているのがお似合いだ。 くわつはつはつはつ。 などと、活字でしか伝わらないような 豪快な笑い声を頭の中に響かせながら 私はガラス張りの お洒落ビルの三階へ昇った。 くわつはつはつはつ。 🍎アカリ🍎 X *⋆⸜𝐧𝐞𝐰⸝⋆*公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁 ※公式LINEが凍結されてしまいましたので お手数をおかけいたしまして 恐縮ではございますが 再登録をお願いいたします。ブログ一覧
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