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Blog@arabian
シーザーは裸だ・兵駅前のコインロッカーに 黒いジャケットを預け ベージュのトートを肩にかけたまま 私は予約した パーソナルカラー診断の店が入っている お洒落ビルの前に立ち尽くしていた。 「この俺、この私こそが最先端だ」 と言わんばかりの表参道の 自我の塊のような我利我利地獄を抜けて 私の心は既に疲労困憊していた。 一体なんだってわざわざこんなに 個性が競争しているところに 好き好んで足を ノコノコ運ばねばならんのか。 私は家辺で ブルーベリーを味わっていたかった。 しかし今の我が家の空気が それを許さないのだから仕方がない。 進もう。 翼をもがれ、鎧をも剥ぎ取られた 足の不自由な世紀末の偉い人も言っていた。 「帝王に逃走はないのだ」と。 私だってよくは聞いていないが 生まれた時の体重が重過ぎて 男と間違えられて 赤子にして男部屋に ぶち込まれそうになった過去がある。 ならば帝王切開にて取り出された可能性も 当然高いのだ。 つまり私はシーザー。 マクベスだって倒せるぜ。 私は女の股なんて 頼りがいのないところから 生まれてないのだ。 大いなる、というか大きなる私は エイリアンの如く霊長類の腹を食い破って この世に爆誕したのだ。 いや、詳しいことはわからないが わからないからこそ もういっそ帝王切開でいこう。 ガイウス・ユリウス・カエサルの気持ちで。 そう、なんてったって 人生において大事なのは気持ち。 人生は素敵な勘違い。 しかしユリウス氏族の カエサル家のガイウス君 というのが本当なのに みんなにカエサル、カエサル とばかり言われるのはいかがなものだろう。 私でいうならば凱旋の折に 「アラビ万歳!アラビ万歳!」 と言われてるようなものである。 そこはせめてアカリ万歳と言って欲しい。 当のカエサルはどうだったのであろうか。 まあ家名の誉れと思えば 悪い気持ちではないだろうが。 私とて、アラビアンナイトの名が上がれば 嬉しいものであるしなぁ。 そもガイウス君なんて言われても グラックス兄弟の弟とかと間違われそうだし まあそんなことをいったら カエサルのお父ちゃんも ガイウス・ユリウス・カエサル。 お爺ちゃんも ガイウス・ユリウス・カエサル。 一体どう呼び分けていたんだろう。 大カエサル、中カエサル、小カエサル とかであろうか。 でもじゃあ、更に曾祖父や息子まで ガイウス・ユリウス・カエサルだったら? スーパーカエサルとか言って セルを完全体にして大恥をかいたり かたやカエサルジュニアとか言って 大みそかにRIZINファイターを ぶっ飛ばしたりして 小銭を稼いだりするのだろうか。 そしてエキシの亡者と成り果て ついにマイク・タイソンと 激突してしまうのだろうか。 やだなぁ。 タイソンが負けるのを見るのも メイウェザーが塩試合するのを見るのも どちらも嫌だなぁ。 と、うっかりメイウェザーなど関係のない ボクサーの名を口にしてしまったが まあ遡って そんなことはどうでもよいのだ。 命名という概念は何処にいったのだ全く。 という話だ。 更に遡って我に返れば 私は今からこのお洒落ビルに シーザーの心持ちで乗り込もう という算段であったのだ。 我は皇帝なり。 いや、皇帝になりたかったなり。 終身独裁官でありたかったなり。 ブルータス お前だけはゲヘナの底で、永遠にサタンに 咥えられているのがお似合いだ。 くわつはつはつはつ。 などと、活字でしか伝わらないような 豪快な笑い声を頭の中に響かせながら 私はガラス張りの お洒落ビルの三階へ昇った。 くわつはつはつはつ。 🍎アカリ🍎 X *⋆⸜𝐧𝐞𝐰⸝⋆*公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁 ※公式LINEが凍結されてしまいましたので お手数をおかけいたしまして 恐縮ではございますが 再登録をお願いいたします。ブログ一覧
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湯煙の国――人は湯に沈みながら 己の出涸らし具合を測るのである。 HSP、というものがあるらしい。 どうせヘンタイソープパラダイスの 略式であろうなどと高を括っていたら さにあらず。 その名はヒートショックプロテイン。 まこと人間の身体というものは どこまでも神秘の衣を纏っているもので 曰く 四十度から四十二度のお湯に身を沈めると このHSPとやらがふつふつと湧き立ち お肌が瑞々しくもちもちと潤うのだという。 肌が春先の桜餅のごとく うっすらと光を孕み、柔らかく蘇る。 なんともうらやましい話である。 ところでHSPという文字列 私は少しばかり 個人的な思い出を引きずっている。 ひとつは、昔むかし 繊細な人々を指す言葉として 聞いたことがある HighlySensitivePerson (ハイリー・センシティブ・パーソン)。 世界の機微をいちいち拾ってしまう 厄介な感受性。 故に疲れやすいが 物事を深く考える 知覚能力に長けるなど 哲学者向きなのかしら。 もうひとつは HSPと刻まれた古いマイクである。 学生時代、部室の部屋の床に転がっていた。 あの黒いボディに埃をかぶった哀愁。 まるで今宵の話とは何の関係もないのだが ふと記憶の隅が囁いたので つい横道に逸れてしまった。 さて、話を風呂へ戻そう。 HSP的には、週に二度か三度 湯船に浸かるのがよろしいらしい。 科学というものはかくも律儀である。 そこでふと思い出すのが アカリさんのことである。 彼女は週に四回以上 アラビアンナイトに姿を現す。 湯煙のなかに悠然と佇むその姿は 温泉まんじゅうよりも 御土産感が強いと評判である。 とすると、アカリさんなど HSP的にはとっくに湯に煮えられた 出涸らしなのではあるまいか と誰もが一瞬は思うだろう。 だが、ここでひとつ訂正をしておきたい。 アカリさんは豚足をこよなく愛している。 あの、ぷるぷると震える半透明の膠質が 夜な夜な彼女の体内で静かに コラーゲンへと変じ 明け方には再び 「もちもちのアカリさん」 として世界に立ち上がる。 人間というのは案外したたかである。 それにしても、皆さんもよくご存じのとおり 家のお風呂というのは 扱いがなかなかに面倒である。 湯垢、湿気、排水口… そこにはまるで小さな帝国が存在し 治安維持には細心の注意を要する。 だからこそ私は申し上げたいのだ。 アラビアンナイトにおいでなさい、と。 ちょうどよき塩梅の湯温と まろやかなる蒸気があなたを迎える。 壁は静かに光を反射し 湯面はゆらゆらと月影を宿す。 心まで、もっちりと やわらかくなること請け合いである。 どうぞ、いつでも もちもちしにいらしてください。 資本主義の湯船は 案外、悪くないものでござんすよ。 と、たまにはお店の宣伝も と思い立った結果 なんだか色々と間違えている気がします。 そんなにお風呂を推してどないすんねん。 という人もあるでしょう。 まあそこはそれ 恋するお風呂屋さんと銘打っておかねば お上に申し訳が立たないのでね。 銭湯気分でごゆるりとお越しください。 随分と値の張る銭湯ですがね。 オフロードなお風呂屋さんなもんでね。 ゴープロつけてるばりに トークロのテクでジョークを交えつつも 遠くの桃源郷へ誘いましょうぞ。 アラビアンナイトにまたいらっしゃいよ。 よし韻が踏めたぞ!スタコラ! 🍎アカリ🍎 X *⋆⸜𝐧𝐞𝐰⸝⋆*公式LINE ✉️arabi_akari_otoiawase@outlook.jp ご予約詳細は🈁 ※公式LINEが凍結されてしまいましたので お手数をおかけいたしまして 恐縮ではございますが 再登録をお願いいたします。ブログ一覧
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