前回の続き 〜たまには趣向を変えた 日記を書こうとして 変な自己啓発本とか 読んだんじゃないかと 勘ぐられる内容に〜   一人暮らしで喧騒の中の 孤独にも慣れた昨今 だがそのことに至るには、無自覚に 自然への感受性を 都会へ差し出す必要があったようだ   ただいまの住処に比べては 実家は緑に富んでいた 鳥の囀りで目を覚まし 毎朝、名も種も知らぬ鳥に ｢おはよう、良い朝だね｣と声をかけた 雨が降っていたら 代わりに訪れていた蛙に 同じ挨拶をした 天気がどうあれ 良い朝と朝イチで口に出せば 私にとってその日一日のｽﾀｰﾄは最良で 間違いなく良い朝であった   階段を降りれば家族がいて 保護した猫に保護され テレビの音くらいしか娯楽がなくとも 不思議と空間には 音が充ちていた気がする   一人暮らしを始めると こういうことに鈍くなるのだな 結局のところは ただのホームシックというやつであろう 本来は感謝すべきこの環境に 文句をつけてはバチが当たる   あの鳥の旅人にも 雨宿りしにきた蛙にも 我が保護者たる猫の諸君に会えなくとも 一人暮らしの自由という贅沢には 到底叶わない   なんたって一人暮らしでは 前立腺の本だって 勝手気ままに放逐できる これほどの自由が許されるだろうか   というくらいには 私はこの自由を謳歌している 両方欲しがる私は ただのごうつくばりなのだ   ただ たまにあの鳥のさえずりが恋しくなる それだけはそっと 心のお洒落小箱に閉まっておきましょう   ビバおひとり様！       🌙 アカリ 🕌         ご連絡&各種リンクはこちら